第20話 出会い
―その先の奈落は数十基のランプによって照らされた薄暗く、また所々に血のこびりついた生臭い空間であった。
床には過去の冒険者のものだろうか...ロケットペンダントや錆びついた剣がちらほらと転がっている。
............
どうする。
どうすれば出られる。
すでに落ちてきた穴は塞がっている、無理矢理にでも穴を開ければ.....
いや駄目だ。
無理矢理穴を開ければ、崩壊してもおかしくない。
生き埋めになる。
「まずは、 ―ソナー」
少し遠くに反応ありか。
それも二つ。
待て、一つは反応が弱くなった。
戦っていたのが終わったのか?
ダンジョン内でモンスター同士が争うことは特段珍しくないらしい。
「今なら消耗も激しいはず。ひとまずの安全確保のためにも行かないとな。」
そうして反応のあった方向へ向かうと...
「あれは...ミノタウロスか。
もう片方はどこに....はっ!」
そこにいたのは8m程の巨大な牛人ミノタウロスと.....
血塗れで倒れ込むローブ姿の女性だった。
人か! まずい、どうすれば...
まずはミノタウロスの注意をそらすしかない!
...................
「!」
突然、ミノタウロスの足首に矢が刺さる。
「こっちだミノタウロス!」
これで注意を引ければ良いが.....
「グウォー!!」
成功か。なら!
「フラッシュ!」
暗視持ちにフラッシュは堪えるだろう。
今のうちに!
「出でよ、フォトニックセイバー!」
早めに決着をつける!
「グウォー!!」
ミノタウロスがその巨体をもってして突撃してくる。
「ファイヤー!」
やはり野生のモンスターは火を恐れるらしい。
ミノタウロスは少し勢いを緩める。
とはいえ地下空間での使用は危険、長くは持たない。
そうこうしている内にミノタウロスはまたしても突撃して来る。
「同じ芸しかできないなら好都合だっ!」
―巨躯が迫る。
だが、光の刃はそれを無意味だと言わんばかりに、奴の胸板をバターのように焼き切った。
そして、その眩い光は心臓まで届く。
絶命した巨体は、轟音とともに地を揺らしながら沈んでいった...
............
倒せたか...
そんな事よりもさっきの人は!
―彼が急いで駆け寄ると.....
「良かった、まだ息はある!
あとはこいつで街に連れ帰れば....」
エリーカから貰ったテレポーター...まさかここで役に立つとはな。
―彼は背負っていたバックからエリーカから買い取ったテレポーターを取り出し、周囲を確認してから装置を起動する。
すると、それは彼の魔力を物凄い勢いで吸い始めた。
そして魔力が充填し、あと少しで転移するというその時....
「なんだ客人よ。
もう帰ってしまうのか?」
―どこからともなく現れた貴族の様な格好をした男が彼を呼び止める。
........
まずい、テレポーターのせいで動けない。
それに気配がしなかった。
目の前の男、おそらくこいつが.......
「我が名はノール。
この魔窟の主にしてアンデッドが主、デーモンである。
して、そちらは?」
ご丁寧に自己紹介か...ならば
「我が名はアルフレッド・E・スミス。
理想を求めし旅人である、幻惑の迷宮が王よ。」
「ほぉ、大抵の者は恐怖し名乗りもせず逃げ惑うのだが.....面白い。
だが時がそれを許さないようだ。
またの機会を心待ちにしよう、客人よ。」
そう相手が言い切ると共に目の前が蒼白く光り、エリーカの店へと転移した。
「どうしたさね、坊や!」
魔力切れで僕はそのまま意識を手放した。




