第16話 変わり者
「私はエルフだからねぇ。」
「?」
エルフ?どう見ても人間の老婆だが....
「はぁ、困ったわね...
最近の若者は変装も見破れないの?
―キャンセル」
その言葉と共に老婆の姿は変わっていき、
そこにいたのは.....
「壮年の...エルフ!?」
「うふふ、"壮年の"は余分よ 坊や。」
エルフだ、間違いない。
ただ、イメージしていたエルフ像とは違い人間の50代くらいの見た目だ。
「私は正体を見せてあげたことだし、坊やも正体を
見せてくれたら、お姉さん嬉しいわぁ。」
どうすればいいんだ!
まずい、何とかして誤魔化さないと...
いや、下手な嘘は逆効果か。
こうなったら....
「誰も純粋なエルフだ、とは言ってませんよ。」
ぼかすより他に道はない!
「!....あぁ...ごめんなさい。
混血とは知らずに...
そうよね、それは言い出しづらいわよね。」
ふぅ、なんとか誤魔化せたか。
それにしても、混血というのは言い出しづらい...
忌避されているのか?
「いえいえ、お気になさらず。」
「そうもいかないわ、お詫びに....何か棚にないかしら?
これがいいわね。....これを受け取って。」
何だこれ? 青白い...魔力のキューブ?
「それはテレポーター、起動すると登録した場所
に転移出来る魔道具。ただし一度起動すると使用者
の魔力を吸い尽くすから、それだけは気をつけて。
危険から逃げ切れない時に使ってちょうだい。」
「ええ、ありがとうございます。」
とは言っても、使う日が来なければいいんだが...
取り敢えずここを登録してみるか。
.................
「またのご来店をお待ちしております。」
「ああ、また来る。」
それにしても健啖エルフか...
ギルドの食堂で珍しいものを見る目が向けられる
のは、そういうことだったのか。




