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第1話 始まり
"それ"は 突然訪れた。
―今までの人生を振り返ると"そこそこ"という言葉が.
最も相応しいと思う。
"そこそこ"裕福な家庭に生まれ、"そこそこ"良い大学
へ通い、"そこそこ"有力な企業へ入社した。
その日も普段と同じように仕事を終え、帰路に立ち、最寄りの駅へ向かっていた。
そう、まさしく"それ"は、突然訪れたのだ。
悲鳴を上げる子供、 血に濡れたシャツ、 不自然な方向に曲げられ 悲鳴を上げる手首···
そして、バンパーや グリルの歪んだトラック
一体誰が、この様な最期の景色を想像できようか―
気道が潰れたことで呼吸が出来ず遠のく意識の中で、
このようなことを考えた······わけではない。




