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魔王♂に転生したけど、勇者パーティの僧侶に恋しています。  作者: アオ
第1章

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4/13

ep.03:スキルツリー開いていたら、祭が始まった件


────ピン、と張り詰めた空気の中に、淡い光の粒が舞い上がる。

それはやがて線を描き、目の前にひとつの光のプレートを形作った。


まるでホログラムみたいに、ゆらゆらと宙に浮かんでいる。

しかも、どこか見覚えのあるUI。


( ……うわ、これ完全に"セブオン"のステータス画面じゃん )


恐る恐る目を凝らす。

そして、そこに浮かんだ文字を見て、私は息をのんだ。


-----------------------------

【STATUS】

名前:ダリオン・ラス

レベル:1

称号:憤怒の王(休眠中)

体力:5

魔力:3

状態:瀕死(外見ほぼ終末)

-----------------------------


「……外見ほぼ終末ってどういうこと?!」


叫んだ声が石造りの天井に反響する。

ズガァンッ!! って、最早地響き。


( やば、ボイス爆音設定なの!? )


焦る私を他所に、傍にいた配下と思われる魔物たちは嬉々とした声をあげる。


「おお……! 王の咆哮が玉座を震わせておられる!」

「外見すら終末と評されるとは……さすが我らが王!」


誉め言葉なのかけなしているのか、区別が難しい言葉を受けながら私は頭を抱えた。

こんなゾンビフェイス、爆音ゾンビヴォイスで推しのノエルくんに会えるわけがない。

いや、そもそも目が合った瞬間に浄化されるまである。


「……やだ、推しの前でボロ雑巾とか絶対むり。

 まずは顔面再生からスタートだな」


ため息をついて、気持ち小声で独り言を零すように言いながら、ステータス画面の隅をスクロールする。


……あった。スキルツリー。


懐かしい、ゲームでも見慣れたアレ。

細い枝がいくつも広がっているが、いくつかはまだ灰色でロックされている。


「えーっと……“筋力増強”……“痛覚無効”……“魔力増幅”……」


(うーん、どれも戦闘用ばっか。

 美容に効きそうなのは……あ、あった!)


《超速再生》:魔力消費500/解放条件:Lv10/再生スキル習得済み


「これだぁぁぁ!!」


玉座の間に、私の歓喜の声が響いた。

しかし、それも再びの"スガァン!"

学ばない私の地響き爆音ボイス。


「我らが王が……歓喜の咆哮を!!」

「ついに戦乱の火蓋が切られるのか!?」


戦乱の話なんかしてない。

美容の話!火蓋は切らないし、切るなら目頭切開だな!


勢いよく立ち上がると、ガタッと玉座が鳴った。

まわりの魔族たちは一斉に平伏。


「……よし、まずはレベル10まで上げる!

 推しの前で堂々と会えるまで、魔王、美容修行を開始します!」


玉座の間が静まり返った。

それから数秒後、ひとりの魔物が感極まった声で叫ぶ。


「王が……! 自ら修行を宣言なされた!!」

「ついに時は満ちたのだあああ!!!」


歓声とともに、魔族たちが勝手に祭りを始めた。


( 配下だからなのか、全肯定すぎない? )


私は溜め息をつきながら、ステータスの隅々まで確認する。

どうやら元から持っているスキルの一つに「カリスマ補正(ポジティブフィルター)(パッシブ)」というものがあり、こいつがどうやら発動しているらしい。

魔族たちが肯定的な反応を見せる要因が分かってホッとしつつ、私はステータスを閉じて、半分溶けかけた腕を見下ろした。


「まぁ、何にせよ……推しに会うためなら頑張れる」


こうして、“推しに会える顔面”を取り戻すための魔王レベル上げが、今始まる。


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