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第88話:人には向き不向きがあるよ

さて、そろそろということで私達も狩りに参加することとなった狩猟祭の秋。

正直参加はしたくないのだが、1つだけやってみたいこともある。

それは、

「当たんねー!」

ルフの狙撃である。

狙撃って言っても弓なんだけどね。

皆ごめん……今晩は肉抜きかもしれん。

弓術の心得がないからかなり苦労しております。

そういえば剣術の授業はやってたけど弓術の授業やってなかったな。

今度からちゃんと的を用意して授業に取り入れよう。

「カノイ様、こうだよ。」

見かねたグルートが講師として隣についてくれた。

「えっと、こう?」

「うん、いい感じ。」

コーチングの結果、どんどんと精度が上がっていく。

1時間もすれば動かない的には当たるようになってきた。

「よし!次はルフだ!」

すぐさま空に飛ぶルフを狙って狙撃を開始する。

けど当たらない!

「当たんねー!」

「動く的はレベルが高いからまだ難しいよ。」

グルートがフォローしていくれるが圧倒的に実力と経験不足だ。

うぅ……今後はちゃんと訓練に弓術を取り入れよう。

「でも今回の狩猟祭はルフがあんまり取れない年になるな……。」

「カノイ様、大丈夫だよ。」

そう言ってグルートは複数の弓をつがえる。

「え。」

「一気にいく。」

そう言ってつがえた弓を放つと複数のルフを射落とした。

「……。」

「ほら、これで大丈夫。……カノイ様?」

こ、怖いよー!矢が全部急所に当たってるよー!

というか複数の矢をつがえることなんて本当に出来るんですね。

え?なんで敬語かって?そんなの怖いからに決まってるじゃないですか!

グルートの思わぬ実力をまざまざと見せつけられて意気消沈どころか恐怖のどん底までテンションが落ち着いたところで、改めて私には向いていないなと思い直した。

うん、狙撃向いてない。

大人しく血抜きと運搬だけしていよう。

そこでふと思い出す。

運搬も飛竜に手伝ってもらったらいいんじゃね?

思いつくが早いか、私は配達業に従事していない飛竜に会いに行くことにした。

「ステイステイ。今日はそんなにお野菜持ってないよ、ステイ。」

ギャーギャーと騒がしく纏わりついてくる飛竜達に今の状況を伝える。

というか、伝わってるのか?これ。

とりあえず伝わっているってことにしておこう!

「そんなわけで、肉を運ぶのを手伝ってほしいんだけど。」

「「「ぎゃー?」」」

「これは、報酬か?そうだな、収穫祭で取れる予定のお野菜を三分の一ほど融通しよう。どう?」

「「「ぎゃー!」」」

「よしよしOKか、そうかそうか。」

何となくOKがもらえた雰囲気になったので飛竜達を引き連れて村に戻る。

すると飛竜達はいそいそと血抜きを行った後の肉塊を村の倉庫に運び出してくれた。

ありがたいね。

そんなわけで飛竜陣頭指揮官のカノイです。

決してサボっているわけではないんです。

「カノイ~!サボってないで血抜き手伝って来いよ~!」

サボってないんです!


なんやかんやとありましたが、今年の狩猟祭も大成功!

成果物の運搬という重労働も飛竜達のおかげで楽できたし、今日も鍋が美味い!

「串焼きもあるよ!」

「にーちゃ!ヘディンが捕ったルフの串焼きあげる!」

……どうやら狩りは弟達のほうが美味いようだ。

悔しくはない。悔しくはないけど、なんか、ちょっと涙が……。

カノイ・マークガーフ、21歳、実力不足を痛感した秋の出来事である。

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