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第87話:初めてのお使いはやらなくていいならやらないほうが安全

「いいかカロン?このお金をファンとトムに渡して牛乳を買ってくるんだ。」

「いいかいマロン?カロンと一緒に買い物してから帰ってくるんだよ?」

「「はーい!」」

「「よし!行って来い!」」

初めてのお使い。それは人生において最初の試練。

初めてのお使い。それは親にとって覚悟の瞬間。

初めてのお使い。……とっても心配だ。

とりあえずついていってみよう。

「あ!シェリル!チェリル!」

「あ!二人とも何してるの?」

「カロンとマロンだ~!今ね、遊んでるの!」

「カロンとマロンも遊ぶ~?」

おっと?早々に誘惑が。

カロンとマロンはどうするのかな?

「うーん、今日はお買い物の日だから遊べないの……。」

「お使い中なの!だからごめんね!」

「「お使い!カロン!マロン!すごい!」」

キラキラとした目で見つけるちびっ子双子。

まんざらでも無さそうなちびっ子二人。

うん、平和な光景だ。

「「また今度遊ぼうね!」」

「「うん!バイバーイ!」」

そうして遊ぶ約束をして少年達は去っていく。

そして私はそんな二人に着いていく。

あ、怪しいものではないです。

シェリルとチェリルの親なんです。

通報しないで!


「「ファン!トム!牛乳下さーい!」」

「いらっしゃい!よく来たわね!あら?二人だけ?」

「お使いかな?偉いね~お兄ちゃんとは大違い!」

「なによ!あたしだってお使い位してたわよ!」

「そうなの?ファンすごい!」

「ファンできる子!」

「あはは!褒められてるよ!お兄ちゃん?」

「うっ、ま、まぁね!……なぜかしら、ちょっと傷つくわ。」

お、無事牧場にたどり着いて牛乳を注文できたみたいだ。

「はい!牛乳ね!この料金なら4本だわ!」

「え、大丈夫?そんなに持てる?」

「「大丈夫でーす!」」

そういうとカロンとマロンは軽々と牛乳瓶を持ち上げた。

すごいな、あれ1L瓶だろ?2Lずつ?

意外な特技を見つけつつ、私は帰宅中の彼らを追いかけた。


「あ!」

カロンがこけた!?

「わ!カロン大丈夫?」

「僕は大丈夫だけど牛乳が……!」

そういうカロンの足元にはこぼれた牛乳が。

よかった、瓶が割れたわけじゃあなさそうだ。

「こぼれちゃった!」

「半分以上こぼれちゃったよぉ!」

こけた上に牛乳をこぼしてしまったカロンは半泣きだ!

ぐぅ!出ていきたい!即座に撫でに行きたい!

い、いや、ここは一旦耐えろ!

「カロン……。」

「マロン……謝ったら許してもらえるかな?」

「大丈夫だよ!ジェイルもエイルも怒ったりしないって!」

「そうだよね……頑張ったもん!」

そう言って半分ほどに減った牛乳を持ち上げて歩き始めるカロンとそれを支えるマロン。

が、頑張ってる!偉い!

マロンがカロンを慰めながら歩きだしたあたりで私の涙腺は崩壊した!

そんなことカロンとマロンには関係がないので2人はどんどんと自宅に向かって歩き出す。

あとちょっと!頑張れ!


「「ただいまー!」」

「「おかえり~!」」

「ちゃんと牛乳買えたか~?」

「うん!あ!でもね、あのね。」

「途中でこけちゃったの!でね、牛乳半分になっちゃった!」

「え、大丈夫?怪我してない?」

「うん!怪我はしてないよ!」

「そうか~それならよかった。お前達、頑張ったな~。」

「「うん!」」

よかった~。

どうやら怪我もなさそうだし、ちょっと牛乳はこぼしちゃったが何とか自宅まで運び込むことはできた。無事初めてのお使いは完了したようだ。

「カノイ様もありがとうな!」

「え?」

「カノイ様最後まで見守ってくれてたんでしょう?」

「え、なんでバレた!?」

「いや、カロンとマロンが出ていく時から後ろからコソコソついていってたからさ~。」

「実は僕らがついていこうと思ってたんだけど、まぁカノイ様がついていってくれるなら安心だなって。」

マジか。最初からバレてたのか。

「よし!カノイ様!お礼として家でシチュー食って行けよ!」

「今日はデザートに牛乳プリンも作るよ!」

「「わーい!シチューも牛乳プリンも大好き!」」

「そうだな~いただいていこうかな~。」

そんなこんなでカロンとマロンの初めてのお使いは終わった。

奢ってもらったシチューと牛乳プリンはとてもおいしかったし、なんとなく努力の味がした。

カノイ・マークガーフ、21歳、ちびっ子の初めてのお使いを見守った夏の出来事である。

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