第83話:父にも母にもなれる性
「ママー!」
「はいはいママじゃないぞ~。」
どうも、ママではないカノイです。
「いいか~ママじゃなくてカノイな~。」
「カノイママ~?」
「ママじゃないぞ~?」
気持ちだけはお父さんだぞ~?
といっても産んだのは私だし、家督を継いだりするのも私で、ややこしいので名前で呼んでもらいたい所存。
「カノイだぞ~。」
「カノイママ~!」
「カノイママ~?」
「ママじゃないぞ~。」
うん、もう治らないかもしれない。
もういっその事諦めるか。
「どうしたんだカノイ。シェリルとチェリルがどうかしたのか?」
「「あ!リボルパパー!」」
「あ~なるほど。まぁカノイはママって感じではないな。」
「だろ!?」
「そうかな~?」
「ママやさしいよ?」
「優しいとママなのか?」
「「うん!」」
「おかねかせいでくるからリボルパパはパパなの~!」
「ちょっとリアルな差異!」
「ヴォイスはどうだ?」
「ヴォイス……パパ?」
「ヴォイスママ?」
「混乱してんじゃねーか。」
「たぶんママ!かじいっぱいしてるから!」
「確かにそれはありがたいんだよな。家事全般と仕事の手伝いに頼もしいからな。」
「たのもしいならパパ~?」
「うーん、パパかもしれん。」
パパママの基準がわからなくなってきたぞ。
「うん?なら仕事を頑張っている私もパパなのでは?」
「ママはママっぽいからママだよ!」
「ママっぽいってなんだ!?」
女々しいってこと!?いやいや流石に違うか。だとするっと母親らしさってなんだろう?
「ママはね!いちばんつよいの!」
「ママはおしごともかんぺきなんです!」
「……あ~。なるほど?」
皆のママの印象って家の母上なのか。
難易度高いな~。あ、でも私はママとして認められているのか。
「まぁまぁ!おばあちゃんのことそんなに尊敬してくれているのね!うれしいわ~!」
「あ、ママ。」
「いいな~おじいちゃんとも仲良くしような~?」
「パパ。」
おう、孫を可愛がりに年長者が来ちゃったぞ。
気持ちはわかるけど今来られると混乱するな。
「カノイちゃんはママって呼ばれるのはいや?」
「嫌ではないけど……なんか、違和感が……。」
「あら!嫌じゃないのね!ならママでいいわね!」
「えー?良くはなくない?」
「いいじゃないか、尊敬を込めて呼ばれているんだから。」
「う、うーん、そうかなぁ。」
「もういいんじゃね?カノイママで。」
「……もういいか!ママで!」
私はママになるぞ!
「よしよーし、シェリル~!チェリル~!ママだぞ~!」
「「わーい!カノイママ!」」
まぁ、子供達が喜んでいるからいいか!
今日から私がママだ!
カノイ・マークガーフ、20歳、先人の偉大さにプライドが負けた夏の出来事である。
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