第80話:妊娠出産は計画的に
「木の実、結局1つしかできなかった。」
「まぁあまり出血しすぎると倒れますしね。」
「無理すんなよ~急ぐことでもないしな。」
「いや!この冬までにはもう一個完熟させる!二人が頑張ってくれたんだし私も頑張るよ!」
「カノイ様……普通に健康に悪いのでゆっくり作りましょう。」
「そうだぞ!急いでもいいことはあんまりないぞ!」
「え~まぁそうか~ゆっくり作っていくか~。」
「「うんうん。」」
「じゃあまずはじゃんけんですね。」
「え。いいよ、お前先で。」
どうやらノリノリのヴァイスに比べてリボルは及び腰の様だ。
「とりあえずじゃんけんしましょう!」
「え、だからさ……。」
「さぁじゃんけんです!」
「あーもうわかったよ!」
「「最初はグー、じゃんけんぽん!」」
「あー!」
「よっしゃー!いやよっしゃじゃない!勝っちゃったよ!」
「よーしリボル先なー!」
ということで先にリボル、次にヴァイスが産むことに決定!いえい!
「これで子供は何人になる予定なんだ?」
「えーっとジェイルとエイルのところに2人、家に4人、ファンのところがおそらく2人、フロージのところに2人、ヘディンのところに1人かな?」
「計11人ですね。」
「そういえばウェアウルフ達はどうなんだ?」
「あ、どうなんだろうそもそも神の木あるのか?」
「我らは決まった神の木を持たぬ。」
「うお!?」
「ルーさん!カノイ様が驚いておりますよ!」
「む?すまぬ。ウェアウルフと聞こえたのでな。」
「というかそうなのか?神の木って大体人里にあるだろ?」
「そうだ。だからこっそりと教会に忍び込み、一気に実を実らせる。」
「そんなことしてるから嫌われるんだぞ!?」
「う、うむ。まぁそうせねば増えられんのでな。」
「まぁこれからはそんな心配もないからいいけど。」
「?どういうことだ?」
「うん?これからは家の木使うだろ?」
「いいのか?」
「いいに決まってるだろ!どんどん増えろ!何なら結婚もいいぞ!」
「ふむ、では、結婚するか。」
「うん!……うん?」
「不束者だが、よろしく頼む。」
「え!?私と結婚するの!?というかルー既婚者じゃないの!?」
「ウェアウルフは自分より強いものとしか婚姻は結ばぬ。そして我より強いものは群れにおらぬ。」
「へーそうなのかー。いやいやいやそれと私が結婚するのはどういう……。」
「言ったではないか。家に結婚しに来いと。」
「話は分けて考えよう!家の神の木を使っていいよ!家のもの結婚してもいいよ!」
「うむ。では不束者だが、よろしく頼む。」
「だーかーらーさー!」
「カノイ様!僕なら今の言われたら告白として取ります!」
「いやいや俺は流石に違うと思うぞ?」
「味方はリボルだけか……うーん。まぁいいか!結婚したからといって関係は変わらんだろう!」
「えーいいのかそれで。」
「いい!何ならもう一人くらい産んでやる!」
そう、私の夢は家族に囲まれながら老衰で眠るように死ぬこと。
見送ってくれる家族は多いほうがいいよね!
「ではさっくりと木の実を実らせてこよう。出産は春頃が望ましい。来年に食べるとよい。」
「あ、うん、了解。」
こうして家の子の出産予定に5人目が加わった。
名前何にしよう……。
カノイ・マークガーフ、19歳、そういえば春に産むとなると四季をコンプリートするなと暢気に考えていた秋の出来事である。
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