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第79話:邪教はいつでも歓迎中

暑い夏の日の出来事。

「エイルー!エイルを呼んできてー!」

「ファン?どうしたどうした。」

「いやちょっと出血が……。」

「嫌なにやってんの!?」


「神の木に血をあげようとしたのよ!」

「え、ファンが産むんじゃないんだ。」

「なに言ってんのよ。私が産むわよ?」

「え?」

「え?」

「でも実を作るのもファンなの?」

「え、そりゃグルートに無理させるわけにはいかないでしょ。」

「ん?」

「?」

「えーっと、ファン、あの木の実はな、血を提供した人間の遺伝子を引き継ぐんだ。」

「うん。」

「つまりな、今お前がやろうとしていることは、ファンとファンの遺伝子を組み合わせようとしているんだ。」

「…………………………は!」

「やっと気が付いてくれましたか。」

「気が付いたわ!ってことは実はグルートに食べさせればいいの?」

「あってるけどそれでいのか!?」

「しゃあなしよ!実は後日作ってもらうわ!じゃ!」

「あ!こらまて!先に怪我の手当てだおい!」


そんなわけで、来年はグルートが出産しそうだ。

「いいぞ~どんどん増えろ~。」

「そんな養殖するみたいな。」

「皆可愛い子だからな~可愛いが増えるぞ~。」

「個人の好みかよ。」

「いいだろ!他の家の子を楽しみにしても!そう、楽しみなんだよ!」

「私の子もー?」

「ヘディンの子もー?」

「うんうん!楽しみ楽しみ!弟達の子も楽しみ!」

「そっかー頑張るー!」

「ヘディンもー!」

「無理はするなよー!」

見送る背中は逞しく見える。うぅ、私も頑張ろう。

「そういえばあとどれくらい血を注げばいいんだ?とりあえずコップ一杯分くらいは注いだけど。」

「あぁ、でしたらまだまだですね。大体牛乳瓶1本分だとか。」

「え、死んじゃう。1リットルくらい?」

「大体な。気は失ってないからもうちょい少な目でもよさそうだけど。」

「え~でも元気な子が生まれてほしいな~頑張るか。」

「おー頑張れよー。」

「無理はしないで下さいね。」

「任せろ!」


神の木。

かなり禍々しい。心なしか禍々しさが増している気がする。

「元気だなー。」

「エイルー!エイルを呼んできてー!」

「……げ、元気だなー。」

「あ!カノイ様!カノイ様でもいいわ!とりあえず傷を治して!」

「しゃあなしな?ヒール!」

「OKOKありがとありがと。」

「で、どうなったん?」

「うん?あぁ!いい感じに実ったわよ!」

「そっかーよかった。」

「カノイ様も早く行ったほうがいいわよ!フロージ様とヘディン様がザクッといっていたから!」

「なんだってー!?フロージ!?ヘディン!?」


「あ!お兄ちゃん!見て見て実った!」

「ヘディンのも実ったよ!」

「待て待て待って。ヒール!ハイヒール!」

「わ!すごい!怪我治っちゃった!」

「これで痛くないね~!」

「無理しちゃいけません!めっ!」

「うーごめんなさい?」

「ごめんねー?」

「よしよし、分かれば……分かってる?うん、分かってるんならいいんだけど。」

「分かったよー!」

「分かったー!」

「よーしよし、いい子だ。」

いい子達でよかった~。いや本当に無理だけはしないでほしい。

というか、神の木大人気だな。

このままだと出産が来年の春頃に集中してしまう。

「うーん、家の木の実は来月までずらすか。」

「えー?木の実はとっておけばいいんじゃない?」

「ファン?ファンは木の実をとっとく派?」

「え?速攻食べる派。」

「お、おう、そうか。でもとっとくのはいいな。」

ということで木の実はファン一家とヘディン一家が夏のうちに使うことに。

フロージ一家とカノイ一家は秋頃使おうかなって。

よく考えたらフロージと私に関しては2個作らなきゃいけないからゆっくりでいいんだよな。

ふぅ……どんどん増えろ!可愛いはいくらいてもいいぞ!

カノイ・マークガーフ、19歳、将来の楽しみがどんどん増える夏の出来事である。

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