第78話:世代交代はご随意に
さて、今日は私の生誕祭なわけですが、なぜか出産祝いを貰っております。
「あ、ありがとうございます。ありがとうございます。あ、ご祝儀はこちらに、あ、ありがとうございます。」
「すげー集まるじゃん。」
「皆お祝いに飢えてますからね。」
「ジェイルとエイルの時は通院の度に貰ってたらしいわよ。はい、ご祝儀。」
「僕達の時もこうなるんですかね……。あ、ご祝儀です。」
「俺達からもお祝い金です。」
「親子ともども仲良くよろしく~。」
「シュバルツまた泣いてる……。」
「うぅ、兄さんおめでとうございます……!ご祝儀です!」
「「いや多い多い多い!」」
「なんで毎回規定以上の額挟んで来るんだ?」
「それだけ祝福したい気持ちが強いのであろう。」
「お!ルー!いらっしゃい!他の皆は?」
「じきに来るだろう。祝いの品にケーキを作るといっていた。」
「え!?マジか!ありがとう!」
「長殿の祝いの席だ。当たり前のことをしたまで。」
いや、本当にありがたいな。ウェアウルフ達も村に慣れてきてくれたって証拠だよね。
皆が仲良く暮らせているってことが一番うれしいんだよな。
「よし!ご祝儀も貰ったことだし、お祭りをもっと豪華にするか!」
「いいわよ別に!」
「そうですよ!お気持ちですから!」
「いや、シュバルツのやつは返させろ。」
「なんでなんですか!?」
「「「多いんだよ。」」」
ということでお祭りを豪華にしよう!
ご祝儀といっても包まれているのは野菜や果物などの畜産品だ。
ということでマークガーフ家のフルコースを振舞うことにした!
メイド達と一緒にキッチンに立つと、皆が集まってきた。
「お?休んでてもいいんだぞ?」
「それはこっちの台詞よ!あんたの誕生日でしょ?」
「そうですよ、僕達も手伝いますよ。」
「そうだぜ!野菜の皮むきくらいならできるしな!」
「うーん、そう?皆悪いな~。」
ありがたやありがたや。
そんなこんなで料理は進み、ビュッフェ形式の食事会が始まった!
「ほら皆~食べ放題だぞ~。」
「お家で御祝いの時に食べる奴だよ!」
「皆で食べよ~!」
「お~マークガーフ家の食事って豪華なんだな~。」
「まぁ領主さまだしね。」
「家の食事より2品くらい多いわ。」
「デザートも入れると3品だよ。」
「一般のご家庭はおかず1、2品で十分だからね。」
「いや、家も通常はそうだよ?」
「お祝いの席だけ豪華なの~!」
「それはそれでどうなんだ?」
「優秀な領主様方にはちゃんといいもの食べておいてほしいわね。」
「え?そう?還元したほうがよくない?」
「そういうところが……いやまぁ俺らはいいけど。」
「他から見ると……いやまぁ僕らはいいけど。」
「え?もしかしておかしい?」
「「「うーん、まぁ。」」」
「え……えー?」
「ふー食った食った!」
「久しぶりにお腹いっぱい食べたわ!」
「巨大鍋でも足りなくなってきたからね~。」
「ケーキも美味しかった!」
「よかったよかった!よし!今日はもうちょい遊んで解散だな!」
「「「「「おー!」」」」」
大人になっても続けているこのお祭り。
でもいつかは私達の子供達の世代に交代していかないとな~。
そんなことを考えながら直走る。
今日の鬼はマークガーフ家だ!
カノイ・マークガーフ、19歳、先のことを考えると嬉しくもあり寂しくもある春の出来事である。
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