第65話:クリスマスケーキはほどほどに
「冬にお祭りがねぇ!」
相変わらずのリボルの発言である。
「冬のお祭りか~クリスマスかな。」
「クリスマスは知ってるぞ!子供の枕元にプレゼントを置いておく日だよな!」
うーん、サンタさんの文化が中途半端に伝わっとる。
「そうだな~それ以外にも家族や恋人と過ごしたり、ケーキを食べたりするんだよ。後はクリスマスツリー!」
「恋人にケーキにツリーに無い物ばっかじゃん。」
「そうですね、しいていうなら家族でしょうか?」
「任せろ!ケーキは私が焼く!ウエディングケーキぐらいでっかいのを期待しといてくれ!」
「「おお!」」
「じゃあ皆で食べようぜ!」
「では広場に皆を集めましょう!」
「ということで材料集めに来た。ファン、トム!協力して!お願い!」
「もちろんいいわよ!新鮮な牛乳いっぱい持っていきなさい!」
「生クリームもありますよ~。」
「おぉ!ありがとう!ファンとトムもクリスマスは予定空けといてよ!」
「ということでして、大鍋をお借りしたいなと。」
「あらあら!カノイちゃんまたお祭りを作るのね~。楽しみだわ~。」
「そうだな。カノイがやることは皆が楽しめるものが多いからな。」
「ありがとう!パパ、ママ!」
「ということで調理と火おこしをここでやらせてほしいんだけど。」
「構わんぞ。しかし奇特だな。能力を使えば一瞬だろう。」
「あ、確かに。」
「長殿、気が付いていなかったのか。」
「い、いや!ここで使ったらリアリティがなくて能力バレしそうな気がする!最後まで自分で頑張るよ!」
「ふむ、では生クリーム作りくらいは手伝おう。」
「あ、ありがとう!助かるよ!」
「味見は半分までならよいか?」
「半分はさすがに駄目だよ!?」
クリスマス当日。
「よし!完成だ!予定より大きくできたな。」
そそり立つケーキの壁!これは運ぶのが大変だぞ。
「クー手伝います!」
「ルーチェも!」
「え?」
わらわらとウェアウルフの子供達が集まってくる。と同時に大人もケーキを持つのを手伝ってくれる。
「皆……ありがとう!じゃあ広場まで付き合ってくれ!」
そうして巨大ケーキは広場に運び込まれた。
皆にお披露目だ!
と思ったら広場には大きな木が一本。
これは……、
「クリスマスツリー?」
「あ!カノイ!」
「カノイ様!」
「リボル!ヴォイス!どうしたのこれ?」
「実はフロージ様とヘディン様のご要望でこっそりとツリーを作成していたのです。」
「カノイをびっくりさせるんだって張り切って用意してたんだぜ?」
「そうだったのか……びっくりした!」
「お兄ちゃん!見て見て!クリスマスツリー!」
「にーちゃ!キラキラで綺麗でしょ!」
「うん!すごいな!フロージ、ヘディンも、ありがとう!皆もありがとう!」
「まぁあんた1人でケーキ作っていたくらいだしね。」
「俺達もなんかしなきゃなってさ。」
「皆のお祭りだからね。」
「そうか……そうだな、ケーキ作りもウェアウルフ達に手伝ってもらっちゃったし、私一人でやる必要はないんだよな。皆!本当にありがとう!今度から存分に頼らせてもらうよ!」
「カノイ様の為ならもちろん!」
「お手伝いがんばります!」
「いつでも言って……?」
「ははは!心強いな!じゃあまず、皆でケーキを切るか!」
「「「おー!」」」
はらはらと雪が降る中、お祭りは穏やかに続いていく。
来年も皆でお祭りできたらいいな~。
カノイ・マークガーフ、15歳、クリスマスケーキをみんなで食べた冬の出来事である。
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