表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
244/244

番外編:ウェアウルフルーの一生

「大長様、これは誰の日記?」

「……懐かしいな。これは我の伴侶の日記だ。」

「へぇ……大長様にもこんなに愉快な時期があったんだね。」

「ふふ、そうだな。あの頃は……それはそれは楽しかった。」

「……今は楽しくない?」

「いや、我が伴侶の子孫達を見守るのは、存外楽しいものさ。」

「……大長様、今日の体調はどう?」

「あぁ、不思議と体が軽いのだ。久しぶりに散歩にでもいこうか。」

「え!はい!」


「この木の下だ。」

「なにが?」

「我が伴侶が眠っている。」

「……そっか。土葬だから。」

「……私が死んだらこの木の下に埋めてくれ。」

「縁起でもないな~。」

「……。」

「……わかったよ。約束する。」

「……あぁ、そうか。」

「今時土葬なんて流行らないよ?まったく。」

「迎えにきてくれたのか。」

「え?」

「……。」

「……大長様?」

こうして大長様、ルーと呼ばれたウェアウルフの長は静かに眠りについた。

約束通り、大長様は木の下に埋葬した。

興味本位で、昔のマークガーフについて調べてみた。

どうやら大長様の伴侶、ウェアウルフと人を繋いだ偉大な先祖の名は、私と同じカノイと言うらしい。

そういえば私が産まれた時に名前をつけたのは大長様だったと聞いた気がする。

なぜだろう、似ていたのかな?

いや、カノイと言えば、皆が知ってる絵本の主人公の名前だから、あの頃には定番だったのかもしれない。

大長様ももしかしたらあの物語が好きだったのかもしれない。

真相は村一番の大きな木の下だ。

「お~い!カノイ!」

「カノイ様!」

「今行く~!」


カノイ・マークガーフ、12歳、私が成人を迎えた翌日の出来事だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ