第235話:暑いと思考がまとまらない
「は!これは!熱中症!」
「言ってる場合か!はよ休め!」
「あ、はーい。」
ということで久しぶりに頑張りすぎて熱中症になりかけているカノイです。
いや~がんばってる若者を見たらこっちも頑張らなきゃなって思っちゃった。
皆も水分と塩分の摂取はちゃんとしような!
「ぷは~。塩水が旨い。駄目だこりゃ。」
「もう年なんですから、無理しちゃダメですよ。」
「そうなんだけどさ~残り少ない人生で何ができるかな~って考えたら働くくらいしかなくってな。」
「まぁ……それはわかる気がしますが。」
「だよね。教えられること全部教えたし、もう十分信頼できる実力者ぞろいになっちゃったからあとは労働くらいしか貢献できることがない。」
「皆たぶんそれすらやらずにゆっくりしてほしいと思てるぞ~。」
「そうですよ。久しぶりに、というかこれからはゆっくりしましょう。」
「ゆっくりって言ってもな~。何する?」
「え~あ~鬼ごっこ?」
「なんでですか!?普通に本を読んだりとか、お昼寝したりとかしましょうよ!」
「そっか、じゃあまたファンの本でも読むか。最近文字が多いと目がぼやけるんだよな~。」
「王都からレンズでも取り寄せますか?」
「うん、そうしようかな。さて、じゃあもう今日は読書タイムだ。」
「絵本にしようぜ。文字がでかい。」
「そうするか。お?これとかどうよ。勇者カムイの冒険譚シリーズ。」
「これシリーズにしたのか。」
「結構売れているみたいですよ。一番はマークガーフ村の日常ですが。」
「あれ、教科書として使う猛者が現れたらしいな。」
「まじかよ。何年かかるんだよ。」
「さぁ?」
ファンの本の売れ行きは好調。
彼の言った通り、世界に名を轟かせ始めている。
「あれももちろん好きだが、やっぱり絵本が好きだな~。ファンの妄想と理想が詰まっている感じで。」
「本人に言ったら発狂しそうですね。」
「まぁ……なんやかんや恥ずかしがりつつも出版までしてるからな。喜ぶんじゃないか?」
喜んでくれるかな~。死後また会うようなことがあれば伝えてみよう。
そういえば死後の考え方も少し変わった。
昔から言っていたが死んだら別の世界に転生するんじゃないかとか、天国に行くんじゃないかとか、いろいろと考えていたのだが、最終的にちょっと現世で休憩してから転生に向かうんじゃないかと思うようになってきた。
というかそれが理想だ。
きっとジェイルもエイルもファンも私達を見守ってくれているし、また彼らに再開して、皆揃ったら一緒に転生したりするのだ。
これが一番理想的な死後のプランだ。
生きているうちは好き勝手妄想しようと思う。
「お、そうだ、あの世で見守ってるファンにファンレターでも送るか。」
「どうするんだ?燃やすのか?」
「飛ばせばいいんじゃないですか?」
「う~ん、とりあえず書いてみてからまた考える!」
よし!今日も元気に生きています!
カノイ・マークガーフ、58歳、回らない頭でのんびりと過ごすことを考えた夏の出来事である。
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