第233話:来世があるならまた会おう
「そうか……サクラさん、亡くなったか。」
そう知らせに来たのはシオンとシアンだった。
いつもは生意気なシオンも今日は落ち込み気味だ。
というか、二人とも泣きそうになっている。
「……ふふ。」
「!?な、なぜ笑う!」
「いや、この話ヴェークさんにもしたなって思ってな。二人は転生賢者って知ってるよな?」
「……うん。」
「……はい。」
「転生賢者っていうのはな、前世、前の世界で色々と勉強して、努力した成果をこっちの世界に持ってきてくれた存在なんだ。」
「「……。」」
「だから、頑張って国を治めてきたヴェークさんやサクラさんは、もしかしたら次の世界で転生して誰かを助ける存在になっているんじゃないかな?ってね。」
「転生……。」
「誰かを助ける……。それって現世でもできる?」
「もちろん!シオンもシアンも頑張って国のために働いているだろ?二人だっていつかはどこかの世界の誰かの、いや、今この世界の誰かのためになっているんだぞ?」
「そっか……。」
「誰かのために……。」
「カノイばあちゃん?」
「お客さんか?」
「お?リノ、アル。そうだおいで!」
「誰だ誰だ!?」
「おぉ、かっこいい。」
「お?アル。シオンが好みか?趣味が悪いな?」
「な!失礼ですよ従兄弟伯父様!」
「カノイおじちゃん辛辣~。」
「あはは!まぁ嫁にやるかはまだ決めかねるが、家の孫達と仲良くしてやってくれ!」
「孫……ウェアウルフの?」
「そうだぞ~。私がルーと結婚してから家にはウェアウルフの家族がいるんだ。」
「そうか……民族差別なく統治するというアピールにいいな。」
「何!?そんな理由で家の子はやらんぞ!ほら!可愛いだろ!この可愛さに惚れろ!」
「な!?そういう話ではなく!従兄弟伯父様自身が差別なく統治しているという話だ!」
「シオン照れてる~。リノ君は私と遊ぼ~。」
「うん?遊ぶのか?いいぞ!サリバンの本気みせてやる!」
「サリバン家もいるのか……。多種多彩だな。」
「まぁ家のサリバンは私がもらっちゃったからな。もうなんか、襲名制になってる。」
「そうか……なんか、いいな。」
「お?サリバンがお好みか?だったら家にはもう一人マナって子がいてな!」
「だ、だからそういう話では……!」
「シオン~。隠れ鬼するんだって~。おいでよ~。」
「ぐぬぬぬ……今行く!」
「わはは!」
どうやら元気になってくれたようだ。
さて、絶対天国にいる、いや、来世にいるかも?なヴェークさん、サクラさん。
あなた達の息子達は今日も元気に国を治めています。
私達は彼らのおかげで元気に毎日過ごせています。
いい子孫を残してくれてありがとう。
カノイ・マークガーフ、57歳、久しぶりに王家にレクチャーをした冬の出来事である。
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