第229話:懐かしい思い出は再現すると面白い
「あいたたた……腰が。」
懐かしいな~こんな腰の痛い日はよく昼寝させてもらってたな~。
「もう!カノイおばあちゃんは寝てて!」
「おばあちゃん邪魔!」
「なにを~!?これでも雪かき歴50年弱のベテランだぞ!?」
「「腰痛い痛い言ってて邪魔~!心配!」」
「あ、はい、すみません。大人しく寝ときます。」
くっ!
もう年か!
いや、まぁ、もう年か。
そうか、老化を感じることはあんまりなかったけどよくよく考えてみると体力が落ちたり腰が痛くなるのが早くなったりちょいちょい老化の憂き目にあっている。
この前の旅行の後もしばらくしてから筋肉痛になったしな~。
遅れてくるっていうよね、年取ると。
さてと、それにしても昼寝か。
昔は皆でしていたけど、今だと一人か。
ちょっと寂しいな。
だからと言って働いている皆に無理やり付き合ってもらうわけにもいかない。
はぁ、布団にもぐってぬくぬくするか~。
……昔は、前世では一人で何にもしないで生きていけるなんて聞いたら大喜びだっただろうな。
今では一人でいる時間を寂しいと感じてしまう。
それほどまで騒がしい生活をしていたともいうし、賑やかさに救われていたともいえる。
うん、寂しいな。
仕事場でも覗きに行くか。
と、考えていたら扉が開いた。
「「もうやだー!」」
「寝るー!」
「ストライキー!」
シェリルとチェリルがなだれ込んできたかと思うとすっと布団に入って寝入ってしまった。
「ぐぅ。」
「すやぁ。」
「速いな!」
爆速だった。
すると、
「飽きた!寝る!」
「リーンもか。」
リーンもやってきてシェリルとチェリルの間にボスッと挟まって寝始めた。
「じゃあルーナもか。」
「お察しのとおりねむねむだ……。」
とぼとぼとやってきたルーナも枕元にくるりと丸まって眠り始める。
「……賑やかになったな~。」
「そうですね。」
「お、グロウ。」
「ルーナ、徹夜で仕事してたみたいです。僕も教会の雪かきが終わったので寝に来ました。」
「お疲れ様だな。」
「おやすみなさ~い。」
布団を抱きしめるようにチェリルの横に寝転んだグロウからもすぅすぅと寝息が聞こえ始める。
「……懐かしいな。」
これでリボルとヴァイスがいれば昔のままだ。
まぁあの二人が雪かきの主力だから今日は来ないだろうが。
温かくなった布団に入って少しにやける。
これでゆっくり眠れそうだ。
そう思うと意識はすぐに沈んでいった。
しばらくして、シェリルとチェリルを連れ戻す声に目が覚めた。
まだまだにぎやかになるぞ。
なんせ我が家は大家族だからな!
カノイ・マークガーフ、56歳、気温を感じさせない温かさに包まれていた冬の出来事である。
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