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第225話:どうか幸せな人生を生きてほしい

「はぁ、やっぱり調整してないと冬は寒いなぁ。なんか倒れてる人間もいるし。お~い!大丈夫か~?」

「お……お腹が、空いた……。」

行き倒れだー!


漫才の始まりかってくらい定番のシュチュエーションで出会ったゼロさんというらしい旅人さん。

「いや~7日分の食料を持って出かけたんだけど、5日目に食料が尽きてね。」

「え、なんで?追剥にでもあった?」

「いや、おやつに食べちゃって。」

「ポンコツだー!」

もしかして神様なのでは?

いや、こんな神様嫌だな。

「皆私なんかに食べ物をくれてとってもいい子だね~。」

「子って年でもないけどな。」

「もう十分に年を取りました。」

「あ、そっか。人間は60前後までが期限だっけ?」

やっぱり神様なのでは?

「ウェアウルフは200までにしたけれど、早死にしちゃう子が多いんだよね~。」

「やっぱり神様なのでは?」

「え?こんな神様がいると思う?」

「いやだな~とは思うな。」

「飢えて倒れている神様は嫌ですね。」

「あははは!」

「……もしも、神様ならさ、なんで転生者って選ばれたんだと思う?」

「……う~ん?そうだな~。しいて言うなら、可哀そうだったんじゃないかな?」

「可哀そう?」

「例えば、こんな死に方可哀そうとか、こんな人生可哀そうとか、元の世界であまりいい最期を迎えていない人を集めているんじゃないかな?」

「……。」

そういわれてみると、私の最期は確かに可哀そうといえるものだったかもしれない。

まぁそれまでの人生は幸せなものだったが。

「だからこの世界でもう一度、幸せになってもらいたかったんじゃないかな?この世界は、私のような人間にも優しいからね。」

確かにこの世界は優しい。

間違いを起こす人間がいないとは言わないが、誰もが一度は話を聞いて、分かり合おうとしてくれている。

私はこの世界にこれて、幸せだった。

「そっか……ありがとう。」

「え?なんだい急に?お礼を言うのは私の方だよ。食べ物を分けてくれてありがとう。」

「いや~…………やっぱり何でもない。もっと食べてくれてもいいよ!」

「とりあえずお腹一杯食え食え!」

「食料もある程度なら用意しますよ。旅で必要でしょうし。」


「いや~ありがとうね。これで何とか生きていけるよ。」

「ゼロさんもう行くのか。もっとゆっくりしていってもいいんだよ?」

「いやいや、もっと世界を見て回りたいからね。」

「そっか……あのさ、改めて、ありがとう。」

「……うん、こちらこそありがとう。このご恩は忘れないよ。」

「いいよ忘れても。でも、もしよかったらまたこの村によってみてよ。いい場所だからさ。」

「うん!ぜひまた!」

そういってゼロさんはどこかに向かって旅立っていった。

「……神様だったのかなぁ。」

「どうだろうな?話に聞いてた通りの人ではあったけど。」

「神様なら、もうちょっとまともになって欲しい所ではありますね。」

「……まぁどっちでもいいか!」

カノイ・マークガーフ、55歳、神様みたいな人に出会った冬の出来事である。

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