第223話:思い出の品は捨てにくい
「さて、どうするかな~。」
ただいま絶賛終活中。
部屋の片づけをしようとしたのだが、思いの外思い出の詰まっているものが多い。
「これは王都のおみやげ、こっちは帝国、皇国に連合国、共和国か……この辺は捨てていいな。」
「「ちょっと待ったー!」」
「え!?シェリルにチェリル!?」
「カノイママの部屋の物は捨てちゃダメ!」
「全部歴史的資料として寄贈するからダメ!」
「え!?なんで!?」
寄贈!?
「だってカノイママの部屋くらいにしか他の国のものないんだもん!」
「この時代にこんなものがあったんだよ!って情報を残しとかないと!」
「あぁ……なるほど?とりあえずお土産類はダメってことね。じゃあ後は……子供達が作ったものは捨てたくないしな~。」
他になんかあるかな~。
お?これとかどうだ?
妖精達からも貰ったよくわからん種。
「それもダメだ!」
「リーン!?」
「その辺は浄化の効果があるって聞いたぞ!村と村の境目に植えることを推奨する!」
「お、おう、そういうことならそうだな。」
うん、浄化の効果があるんならしょうがないな。
後はなんかあったっけな……。
あ、これとか。
神の木から折れた枝。
「なんてもの持ってるんですか!?」
「グロウ!」
「なんでそんなもの持ってるんですか!」
「いやぁ、なんか落ちてたから拾っといたんだよな。」
「それは神聖な品です!今後広がった領地のどこかに植林しますので教会で保護します!」
「あ、はい。」
他になんかあったかな~。
う~ん、あとはウェアウルフ達がくれた置物くらいしか……。
「じー……。」
「ル、ルーナ。」
これも捨てちゃダメだな……。
ってなにも捨てられてないじゃん!
いやまぁ部屋ごと歴史資料館にぶち込むって手もありっちゃあり……なのか?
「別に私達は作ったものは捨てていいよ?」
「うん?ダメダメ、この部屋の中にあるものの中で一番大切なものなんだからな。」
「カノイママ……。」
片づけは出来なかったけれど、懐かしいものはたくさん出てきたな。
思い出を振り返るという意味では満足のいく結果だった。
「そうだな~しいて言うなら、一番の自信作は私の棺桶に入れてほしいかな。」
「もう!不吉なこと言わないでよ!」
「もっと長生きしてよ!」
「あはは!そうだな!長生きできるといいな~。」
目指せ60歳!
だけどできることならもっと生きたいな!
カノイ・マークガーフ、55歳、人生に起きたイベントを振り返ることができた夏の出来事である。
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