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第218話:いつか消えてなくなるとしても伝統は大切にしたい

「そろそろ生クリームで胃もたれする年齢になってきた。おぇ。」

「吐くなよ?」

「吐かないけど胸焼けは結構前からしてる。」

「無理しないでくださいね?流石に誕生日といっても完食は強制ではないので。」

でもな~せっかく作ってもらったしな~。

なんて言っていられない年齢になってしまった……。

結構本気できついかも……!

「いや~そろそろ生誕祭も代替わりかな~。」

「お?だが祭りは減らさせねぇぞ?」

「なんでリボルは毎回そんなに祭りに本気なんだよ。」

「まぁまぁ。確かに生誕祭自体は無理に続ける必要はないと思いますよ?」

「だよな。もう今日の主役!って年でもないし。」

「ですが、祭りの経済効果と士気の上り具合を考えると確かに回数を減らすのは得策ではないかと。」

「う~ん、あ、じゃあ別の祭りにしよう。」

「別の祭り、とは。」

「そりゃあ伝統ある"大鍋祭り"よ。」

「……。」

「……え?逆行すんの?」


「ということで、祭りで儲けたお金で祭り用の鍋を追加発注してみた。」

「でけぇ。」

「芋でも煮る?」

「なぜ芋限定なのですか?」

いや、なんか日本人として芋煮は布教したい気がして。

とはさすがに言わないが、

「……ほら、腹にたまるし。」

「なんでちょっと考えたんだよ。」

「いやいや、そういえばなんで芋なんだろうとかそんなそんな。」

「理由はよくわかってないんですね。」

「うん。」

「そうか……まぁいつも通り野菜と肉と牛乳を適当に煮込んだシチューでいいんじゃね?」

「まぁやっぱり家はそれだよな。」

「安定して供給できますしね。」

ということで生誕祭改め大鍋シチュー祭り!今年から私たちの世代はこれで行こう。

「チビ達の生誕祭はそのままでいいよな?」

「うんうん、子も孫もまだ祝いたい。」

「親としては1年元気に過ごしてくれて嬉しいですしね。」

そんなわけで生誕祭は続行、高齢組の分だけ大鍋祭りに改名だ。

「今後もそんな感じになっていくんだろうな。」

「親世代がいなくなって、もういいかな?と思ったら大鍋祭りに改名か。」

「まぁ個人の自由でいいんじゃないでしょうか?ファンはまだケーキが食べたいそうですし。」

まじか、元気だな~。

「無理のない範囲でいいよ。無理のない範囲で。」

「伝統行事、復活か。これはこれで話題性ありそうだな。」

「そんないにしえの物でもないのでどうなんでしょう?」

「よし!パンフレットに描いてもらおう!50年ぶりの復活!みたいな感じに!」

「そういわれると結構いにしえですね。」

「そんな化石みたいな表現じゃなくてもいいよ!伝統伝統!」

「伝統の祭り復活!いいぞ!これは盛り上がる!」

「祭り大臣のリボルもこう言っているし、よし!大鍋祭り!行けるな!」

その後、大鍋祭りは移民や観光客にそこそこ人気となり、各地で大鍋の注文が殺到したとかなんとか。

いや~いつの時代でも広まるものって早いな。

カノイ・マークガーフ、54歳、楽しいお祭りを求めて昔を振り返った春の出来事である。

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