第213話:習性はなかなか変わらない
「よっしゃー!久しぶりに遊ぶぞー!」
吹雪が少し収まりつつある中、私は叫ぶ。
集まっているのは幼馴染である10人だ。
「お兄ちゃん元気だね!」
「にーちゃ、お仕事終わって元気!」
「解放されたらすぐこれだ。」
「まぁらしいですよね。」
「あたしはもうくたくたよ!」
「手伝いに行って後悔したからね~。」
「俺もう斧以外持ちたくないぞ~。」
「僕は……まだ走れそうです!」
「僕も!伊達に牧場で鍛えてないよ!」
「俺も……行けそうな気がする。」
そんなわけで久しぶりの隠れ鬼、始まります!
さて、どこに隠れるか。
村中使っていいとなると民家の中がいいか?
いやいや、私ならそういうところは真っ先に探すな。
ここは思い切って牧場側に行くか。
いや、ファンあたりが疲れ果ててたどり着いてそうな気がする!
やめとこ。
じゃあどうするか?
農場方面は足が速いジェイルあたりの独壇場だ。
ここもパス。
エイルはよく井戸の中にいたな。
じゃあここもパス。
元気が有り余っているシュバルツとトムは鬼に近い広場周辺をふらついていた。
パス。
ヴァイスは昔から神の御加護がどうとか言って教会周りに隠れるんだよな。
パス。
フロージとヘディンは雪に紛れる作戦っぽいな。
家近くの雪がこんもりしている。
パスパス。
屋根の上は……グルートがいるな。
パス……。
え、どこ行こう。
もうほとんどの場所とられているんだが?
う~ん…………あ、あそこ行くか。
「やってきました果樹園。」
最近だと学校の授業と視察の時くらいしか来ていないんだよな。
懐かしい、今では昔に来た頃より土地も広くなって管理する人も増えた。
今では木のじいの家族も代替わりしてそれぞれの果実の職人になっている。
そんなわけでこの広大な土地に隠れれば勝てる!
よし!
「何がよしなんだ?」
「うぇ!?早くない!?」
なんで見つかった!?
「カノイがどこいるかは大体わかる。」
「え、何それ怖い。」
ストーカー的な?
「ストーカーってなんだよ。普通にお前が行きそうな場所全部埋まってたからここしかないだろ。」
「なんでその理論で真っ先に私を捕まえに来るの!?なんなの好きなの!?」
「好きだが?」
「そうでした。」
やばい、自分で言ってて自爆した。
「あーもう!しょうがないな!私も鬼だ!」
「おう!とりあえず確定でいるヴァイス辺り捕まえに行こうぜ!」
そういえば他は逃げてる可能性あるのか。
足の速さ的にジェイルとエイルが鬼門だな。
さて、久しぶりに本気出すか!
カノイ・マークガーフ、52歳、久しぶりに能力を使ってずるをした冬の出来事である。
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