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第20話:トラウマはそう簡単には忘れさせてくれない

早いもので、もう収穫祭の季節です。

はい、反省しております。

ほら、リボルとヴォイスの「森イヤー!」「森……怖い……森……」と言っておりまして、奥に行くどころか森にすら入れない状態です。

よし!もう大丈夫だな!

あ、はい、大丈夫じゃないです。

何なら私も吐きそう。おぇ。

森に入ると、あの血の匂いを思い出す。

いわゆる死臭、といった奴だろうか?

人が死ぬときに放つ臭いが鼻にこびりついて離れない。

気分が悪くなった私を抱えて父やリボルとヴォイスの両親は苦笑いを浮かべて「今回の収穫祭は子供達は不参加だな」と告げた。

彼らから見れば、森で迷子になって怖い思いをした子供達が、森を怖がっているように見えるのだろう。

実際はもっと残酷で根深いトラウマを植え付けられてしまっているのだが……大人になるまでに何とかしたいなぁ。

子供達はお留守番、ということでつまらないと騒ぎ立てる前に先手を打ってこう提案した。

「大人達が帰ってくるまでに大鍋を準備しちゃおう!」

「大鍋に触れるの!?」

「重そうだけど大丈夫かな?」

「皆で持てば大丈夫だろ!行こうぜ!」

ファン、エイル、ジェイルと続いて先ほどまで元気がなかったリボルとヴァイスも列に続く。

先頭はもちろん私だ。

私達は大鍋のある家の裏の倉庫に入った。

「中真っ暗ね。」

「わぁ、古い本がいっぱいある!」

「今度読ませてもらおうぜ!」

「ヴォイス!そっちにあったか?」

「えーっと、うん!多分あった!」

「よし!皆で運ぼう!」

「「「「「おー!」」」」」

えっほえっほと広場まで、大鍋を持って子供が通る。

大きな鍋は子供6人ですっぽりかぶってもまだ余るほど大きい。

広場まで運び込んだ大鍋の中、皆で達成感に浸る。

「やったー!」

「無事運搬できましたね!」

「重かった~!」

「あはは!俺ら食材みたい!」

「縁起でもないなぁ、でも楽しかったね」

口々に感想を言い合っては笑いあう。

うん、平和の象徴みたいな光景だ。

最高!

「あ、おいエイル、お前倉庫から本持ってきちゃったのかよ!」

「え?あ!腰袋に入れてたの忘れてた!」

「どうせなら読んでみましょうよ!」

「ヴォイス、読めるか?」

「えーっと”魔法入門書”?魔導書だよこれ!」

「え、そんなもの家にあったの?」

驚きである。というかあったのならとっとと読んでみたかった。

「……これは俺達だけの秘密な!エイル!その本隠すぞ!」

「ジェ、ジェイル、さすがにそれは、泥棒になっちゃうよ!」

「家の人がいいって言えばいいんじゃない?ねぇ!カノイ様!」

「うーん、まぁいいでしょう!」

「カノイがいいならいい、のか?」

「カノイ様の判断だしね、大丈夫でしょう。」

なんだろう、このわくわく感は。

魔法、使えるようになるのかな!?

カノイ・マークガーフ、4歳、新しい発見とともに楽しみが増えた秋の出来事である。

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