第203話:定年退職は年齢に関係なくなる日も近いと思う
「カノイ従兄弟伯父様、お元気で!」
「従兄弟伯父様、その、最初はごめん。でも、今は尊敬してるから!」
「カノイおじちゃんまた会いに来てね~!」
「うん!またな!」
「立派になれよ!」
「常に学びを忘れずに!」
「群れの長としての責務を果たせよ。」
「「「カノイ様、ありがとうございました!」」」
こうして私達の王様業は笑顔のまま廃業した。
いい感じの引退だ。
領主業もこんな感じで引退したいものだ。
「「カノイママいなくても大丈夫だったよ!」」
「え、悲しい。」
そんな!いなくてもいいなんて!
「いなくてもいいんじゃないよぅ!」
「カノイママが仕事しなくても大丈夫ってことだよぅ!」
「え?……どう違うの?」
「カノイママ鈍いな~。」
「チェリルもシェリルもカノイママにゆっくり老後を過ごしてほしいんですよ。」
「そ、そういうこと!?」
仕事しなくてもいいってこと!?
「つまり無職か。」
「リボルパパのサリバンも俺が頑張るからいいよ!」
「俺もこの瞬間無職になったわ。」
「なんやかんやでもう50歳ですからね。人によっては寿命ですよ。」
「長生きしてほしいですからね。ヴァイスママもゆっくり老後を楽しんでください。」
「ありがとうございます、グロウ。君になら安心して教会を任せられます。」
そうか、もう定年退職の年頃か。
前世では60とか65だったけど、この世界では寿命が60まで行ければいい方だからな。
50も生きればいい方、それより生きればご長寿組だ。
そういった意味では家の村はご長寿さんが多いといえる。
「カノイお帰り!あんた王様になるっていうなら連れて行きなさいよ!」
「そうだよ~主治医を置いていくとか何事だよ~。」
「処刑人もおいていかれて寂しかったぞ~。」
「ファン!エイル!ジェイル!ただいま!寂しい思いさせてごめんな~!」
そうだよこのノリ!
久しぶりの再会にこの対応が懐かしさすら感じる。
皆長生きだと有難いね。
でもこれからはもっと気をしてけていかないと。
子供達がいうようにもう働いていられる年頃でもないのかもしれない。
今後は体を大事にゆっくりと過ごそう。
「う~ん、でもやっぱり働いていないと落ち着かないような。」
「カノイらしくないな。まぁ気持ちはわからんでもないが。」
「いつも通りでいいんじゃないでしょうか?普通に畑を耕したり、村人たちの様子を見まわったり。」
「そうか……領主としての仕事以外は何も変わらないんだよな。よし!ゆっくり生きるか!」
カノイ・マークガーフ、50歳、王様としての仕事をやり切って領主としての仕事もやり切った夏の出来事である。
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