第202話:業務の引継ぎは小さなことから大きなことまですべてを引き継ごう
リアン、シアン、シオンに仕事の引継ぎを行うことにした。
ここで才覚を現したのが意外にもシアン君だった。
「え、ここの計算とか個々の内情とかわかるの?」
「うん?うん、大体の推理と推測でわかるよ。ここがこうでこれがこうだよね。」
「て、天才……!」
いや~天才っているんだな~。
いや、家のヴァイスも天才だが。
状況把握の天才というか、物事の答えを導き出す天才って物語の中だけだと思っていた。
本物っているんだな~。
そんな感じで書類仕事はシアン君に任せてよさそうだ。
あとは人材についてだが、こちらもシオン君が中々に得意そうだ。
なんせ彼が警戒する奴らは軒並みスパイか刺客だったりしたからだ。
最初は何事かと思ったが、どうやら相手の挙動を見て判断をしているらしい。
あとは勘だ。と本人が言っていた。
こっちもこっちで天才だな。
えらい。
えらいといえば、リアン君も偉い。
あの旅行の時以来ずっと人と話したり話を聞いたりする練習を続けてきたらしい。
王様としての業務以外にも城の人々のありとあらゆる噂から職務、ちょっとした不満まですべて把握していた。
これが王族クオリティ……!
皆すごい才能を持っている!
それに比べると今代の王様こと私達は大したことがない。
う~む、迷惑はかけていないと思うが、地味な王様だったことだろう。
「嫌そんなわけがありません!」
「え?」
「カノイ従兄弟伯父様が行った政策は多くの国民に多大な影響を与えました!」
「戦争についてもだ。従兄弟伯父様がいなければ、今頃戦争で多くの命が失われていた……って聞いた。」
「お祭りもだよ~。お母様も共和国の人達も皆大喜びだったよ~。」
「カノイ従兄弟伯父様のおかげでこの国は……いえ、この世界はより良いものになりました。皇国も現在では技術革新に力を入れているとか。」
「そんな……いつの間に情報が漏れたんだ!?」
皇国のことは誰にも言ってなかったはずなんだが!?
「そこはそれ。人の口に戸は立てられぬと申します。」
「こわ~。」
「ふふふ、だからこそ、カノイ従兄弟伯父様活躍は全国民が周知の物なのです。」
そうか……知られていたのならしょうがない、のかな?
いつか歴史を語るときにこのわけのわからない功績を残した数年だけの王が教科書に出てくるのか。
それはそれで面白そうだな。
「大層大げさに書かれるんでしょうね。」
「とんでもない化け物になるんだろうな。」
「功績だけ見るとそうなるだろうな。」
「やっぱり?ちょっと見てみたい気がする!」
自分が後世でどう語られるのか気になる~!
「きっと素敵に書かれると思いますよ!」
「誇張して書かれるんだろうな!」
「すっごくでっかくてすっごくかっこよく書かれると思うよ~。」
「そして次はリアン、お前だ!」
「……!はい!」
「再来月からお前が王様だ!頑張れよ?」
「はい!父上と母上に恥じない立派な王様になります!」
将来が楽しみな若者が3人!
いつか、いや、もうすぐ、この3人がこの国を引っ張っていくのだ。
元国王として、そして国民として、楽しみだ!
カノイ・マークガーフ、50歳、引継ぎのこまごました作業を行った春の出来事である。
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