第19話：命に感謝をしながらいただきます
真夏日にはキンキンに冷えた牛乳が飲みたい。
あくまで理想である。
今世では冷蔵庫だとか冷凍庫だとかそんなハイテクなものはない。
なぜ転生者には科学者がいなかったのか……非常に悔やまれる。
しかし、その時私はピンときた。
そうだ、この世界には魔法があるのだ。
何処かしらの誰かしらが物を凍らせる魔法を使えるかもしれない！
そうと決まれば行動あるのみである。
私はいつも通り、リボルとヴォイスを引き連れて村の一軒一軒を訪ねることにした。
結論から言おう！
無事凍らせる方法は見つかった。
しかし魔法なんて生易しいものではなかった。
ジャックフロスト、氷の妖精さんを見つけることである。
この暑い中で氷の妖精を探し回るなんて、いや家々を渡り歩いてはきたけれども、それでもつらいものはつらい！
いわく、ジャックフロストは冬場によく見かける一般的な妖精さんらしく、医者の家などで飼われているらしい。
……ん？医者の家？
氷の妖精はすぐに見つかった。
ジェイルとエイルの家の冷蔵庫で。
いや冷蔵庫あるんかい！
初めて見た！と騒いでいれば医者の翁がふっふっふっとひんやりとした冷蔵庫の中から見慣れた、いや、前世でよく見たものを取り出す。
これは、これは！
「アイスだ！」
「アイス？」
「ってなに？」
「おぉ、カノイ様、ご存じでしたか。さすが貴族。これこそが転生者の知恵、叡智の味わい、ミルクキャンデーでございます。」
そう、彼が取り出したのは固まったミルクの塊ことミルク味のアイスキャンディーだった。
私は迷うことなくそれを頬張る。
それに続いてリボルとヴォイスも恐る恐るとそれを口に含んだ。
「ん～！んんんー！」
「冷たくて、甘くて、とっても美味しいです！」
「アイス、最高！」
暑い夏に冷たいアイス。
私達はこの後こっそりと集まってアイスを楽しんでいたのだが……まぁ、当たり前ながらファン達にすぐにばれてしまうのだった。
カノイ・マークガーフ、4歳、前世と転生者達に改めて感謝をすることとなった夏の出来事である。
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