第188話:情報伝達は確実な情報であるかの確認が大切
「う~ん、もしかしてやばいか?」
スパイの情報をまとめると、国王が病に伏しているらしい。
つまるところ、ヴェークさんが病気でやばい。
「あと3年は耐えてくれ~……。」
「3年?何かあるの~?」
「3年後~?」
「シェリル、チェリル、もしかしたらお前達に領地を任せることになるかもしれない……。」
「え!?なんで!?」
「いや、病気で……。」
「リボルパパー!カノイママが病気ー!」
「ヴァイスママー!あと3年の命ー!」
「待って待って待って誤解誤解誤解。」
誤解ですー!誤解なんですー!
「つまり、カノイが病気で寿命があと3年と。」
「いう誤情報が村に出回ったと。」
「はい、主シェリルとチェリルのせいで……。」
「どうすんだよ村中お通夜モードだぞ。」
「一人一人説得していくしか……。」
「でしょうね。しょうがないですよ。」
「うぅ……まさかこんなことになるとは……。」
「で、結局のところなんだったんだ?」
「何があと3年だったんです?」
「あ~実はさ、リアン君が成人する前にヴェークさんに何かあったら、しばらくは王座を継いでくれって言われててさ。」
「は?」
「え?」
「はい……すみません。黙っててすみません。」
圧が!圧が強い!
「……はぁ。そんな大事なこと、先に言っとけよ。」
「そうですよ。村の経営にかかわる事態じゃないですか。」
「はい……。」
うぅ……やっぱり怒られた。
「怒ってはいねーよ。ただあれだろ。」
「置いていかれたら寂しいじゃないですか。」
「え。」
「先に言っといてくれねーと準備できんだろう。」
「荷物もそうですが、心構えもですよ。子供達には伝えておかないと。」
「え、ついてきてくれるの?」
「当たり前だろ。」
「当たり前ですよ。」
「お、おぉ、心のと……いや、伴侶。」
そっか、一人で行く必要なかったんだな。
「いやでもそもそも行きたくないんだわ。」
「それはそう。」
「ですよね~。」
嫌だー!行きたくなーい!
ヴェークさんあと3年耐えてくれー!
「じゃあカノイママ死なないの?」
「死なない死なない。60までは生きるぞ!」
「「よかったー!」」
「ということで、シェリル、チェリル、とりあえず謝罪からだ。どこまで伝えに行った?」
「「……。えへ!」」
「なんだその反応は!?村中か!?本当に村中なのか!?」
この後滅茶苦茶謝罪回りした。
まさか本当に村中に伝えているとは……。
カノイ・マークガーフ、46歳、自分の余命をあと14年はあると流布し続けた秋の出来事である。
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