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第181話:木の成長はゆっくりと

「久しぶり、パパ、ママ。」

今日はお墓参りだ。

俗にいう命日、というやつだ。

マークガーフ家の墓は教会から少し離れた丘の上にある。

少し殺風景で何もない、広い丘だ。

「ママの仕事はちょっときつくて、まだフロージとヘディンに手伝ってもらってるよ。」

「パパの仕事は思ってたより楽だよ。まぁパパが事前に根回ししておいてくれたからだけどね。」

近況報告と少しの愚痴、あとは他愛のない世間話を少し。

そうしてお墓の掃除をして墓参りはおしまいだ。

まぁ、命日には毎年訪れているが、それ以外の時にもたまに来るしね。

「おわ。もう終わっちまったか。」

「毎回ですが手伝いできませんね。」

「お、リボル、ヴァイス。遅かったな。」

「お兄ちゃんが早いんだよ!」

「にーちゃ!深夜から来てるもん!」

「ははは、0時からが命日だからな。」

「カノイママ、おじいちゃんとおばあちゃんのこと大好きだったもんね!」

「うん!一緒にいるとき嬉しそうだったもんね!」

「そうだな!お墓参りも一番だし!」

「お掃除も完璧ですしね!」

「うむ!早いし完璧だ!」

「おぉ息子達!おじいちゃんもおばあちゃんも喜んでるぞ!」

「ノアもいるよ!」

「レアも!」

「マナも来たぞ!」

「ウルもだ!」

「お前達も来たのか!よしよしいい子だな~。」

父上と母上も息子に孫にひ孫に囲まれて嬉しいことだろう。

「ノアね!木の苗もらってきたの!」

「木の苗?」

「うん!植えておくとね!おっきなきになるの!」

「花の妖精さんにもらったの!死んだ人に会えるんだって!」

「え~ファンタジーなの?幻覚なの?怖いよ~。」

「むぅカノイおばあちゃんなら喜ぶと思ったんだけどな。」

「うむー流石に非現実的すぎたか。」

「でも妖精さん言ってたもん!おっきくなったら雷の妖精に会わせたい人がいるって!」

「あ、妖精さんの願望の方なんだな。」

それならこの大盤振る舞いもわかる気がする、か?

「それにしても死んだ人に会えるか~。もし本当ならいろんな人に会ってみたいな~。」

「え?誰々?パパとママ以外?」

「にーちゃの会いたい人?」

「うん、お爺様とかおじいちゃんとかおばあちゃんとか?」

そういえばあったことがないおじいちゃんとおばあちゃん、そして顔を見せられなかったお爺様こと国王。

あってみたかった人っていうと結構いたりする。

「そうですね、お爺様の代は若死が多かったと聞きます。」

「そいうや爺さんの話とか聞かなかったな。」

「そうなんだよ~。生前に聞いとけばよかったなって。」

結局その情報を持っている人間はいなくなってしまっている。

聞いてみたかったな、おじいちゃんの時代。

「さて!そろそろ行くか!」

「今日も仕事がありますしね。」

「頑張るか!」

父上、母上、マークガーフ村は今日も問題なく回っています。

父上と母上が残したたくさんの思い出とともに。

カノイ・マークガーフ、44歳、いつか大きく育って大樹になるだろう木を私は見ることはないだろうなと心の底では思った冬の出来事である。

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