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第175話:独身でいることは悪ではないが代わりに何か残せるといいよね

「グロウ本当に結婚しないんだな?」

「はい、僕には荷が重すぎます。」

「そっかーまぁそういう人生もあるよな。」

家にいる限り一人でさみしく孤独死ってこともないだろう。

独身でいることにもメリットはあるし、こういう子もいるよな。

さて、だが結婚式なんかのイベントを一人だけできないっていうのもさみしいな。

う~ん……お、そうだ!

「じゃあ独身祝いするか!」

「え?」

「独身ってことは誰かの親にならずに、どこかに嫁いでいくこともなく、私達の子供としてあり続けるってことだろ?それって私たちにとってはうれしいことじゃないか。」

「そ、そうでしょうか?」

「少なくとも私にとってはそうだよ。だからお祝いをしよう。」

とりあえずお酒は必要だな。あとはおいしいおつまみ、甘いものもいいな。

そんなわけで夜更かししてちょっとしたお祝いの場を作ってみた。

といっても参加者は私とグロウだけだが。

「というわけで乾杯!」

「か、乾杯!」

グラス一杯のお酒をぐびっと一気に飲み干す。

私の好みで甘い木の実を付けた木の実酒だ。

そしておつまみをつまみながらぽつぽつと雑談を始めた。

「そうだな~私がもし他の人生を歩むとしたら、一生独身だったかもしれないな~。」

「カノイママがですか?」

「うん、今結婚できているのもリボルとヴァイス、ルーのおかげだしな。」

「3人がいなかったら結婚していなかったってことですか?」

「どうだろう。でも少なくとも私自身にはそういった出会いも感情もなかったんじゃないかな?」

前世で独身だった頃も女子とどうこうするとかなかったからなぁ。

これといった出会いの場もなかったし。

「じゃあもしですよ?好きな人がいるとして、その人が結婚を考えられる状況じゃなかったらどうしますか?」

お?それが核心の部分か?

そうだな~私なら、か、

「私ならただそばにいるかな~。」

「え。」

「問題解決に走ると思ったか?残念ながらそこまで行動的な人間じゃないんだな~これが。」

「正直、カノイママなら当たって砕けろとか言うかと……。」

「いやいや、私だって結婚できるかわからないって言ったろう?それには"私が告白する"っていう選択肢が無いってことも含めてのの"わからない"だからな?」

「そう、なんですか?」

「うん、私はたぶん告白できないまま終わっていったと思う。たとえリボルやヴァイスのことを恋愛的に好きになっていったとしてもね。」

まぁルーは私が告白したことになっているが!

「じゃあ、告白はしないんですね?」

「できないって方かな~。でもそれでも、大好きだからそばには居たいだろ?」

「はい。」

「だったら思う存分そばにいればいいじゃないか。私もそうしたと思うよ。」

「……はい。」

噛締めるように頷いた後にグロウはぐいっと酒を飲みほした。

なんとなくさみしそうなその姿に無性に撫でてやりたくなった。

ということで撫でた。

「……ふふ、カノイママは撫でるのがお好きですね。」

「そうだぞ?それにいい子は撫でないとな。いい子いい子。」

目尻には涙。

ちょっと切ないそんな恋の話はここまでだった。

そのあとは独身はこんなところが楽だとか、独身でこんな苦労があるだとか、そんな話で盛り上がった。

グロウから「どうしてそんなに独身に詳しいんですか?」と聞かれたが、結婚が遅かったからと適当に答えておいた。

前世のことは、まぁ、知らなくてもいいことだろう。

カノイ・マークガーフ、43歳、熱帯夜に冷えた酒を飲み冷たいおつまみをつまむ贅沢は独身時代の花だと思う夏の出来事である。

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