第161話:長生きの秘訣は楽しみを見つけること
「滅茶苦茶痛かった……。」
「でも生まれてきてくれるとホッとするよね。」
「「「わかる~。」」」
主婦の集会みたいになっとります。シェリルとチェリルの出産現場。
「今回も元気な子だよ~。二人共問題なし!」
「「よかった~。」」
「ありがとな、エイル。」
「いやいや、マークガーフ家は安産が多いってお爺様も言ってたけど、本当に何の心配もなく終わったよ~。ありがたいね~。」
「ありがたいね~。」
ありがたやありがたや。
「それで?名前は決まってるの?」
「決まってるよ!」
「え、僕とジェイルを差し置いて名前つけてるの?」
「あ。」
確かにあの場にエイルとジェイルっはいなかった。
というかよく考えるとマークガーフ家以外の人間は参加してなかった。
「ご、ごめん……。」
「……あはは!いいよ!カノイ様が考えた名前ならいい意味だろうしね!」
「本当にごめん!意味は考えてたけど相談するのは忘れてた!」
「だからいいってば!それよりそのいい名前を教えてよ!」
「えっと、シェリルの子が先に生まれたからこの子がノア。チェリルの子がレア!」
「なるほどなるほど?自由、と幸せかな?」
「「「お~さすがエイル。博識。」」」
「あはは!こっちだって名前候補ぐらい考えてるからね?」
「うぅ……それは本当にごめん。」
「勢いで決めちまった。すまん。」
「ちゃんと考慮しておくべきでした。すみません。」
「も~、お祝いの席なんでだから皆暗くならないでよ!いい名前だと思うよ?ノアとレア!」
「そうかな……そうだな!初孫だー!」
「うおー!」
「わー!」
「切り替え早いな~まぁいいけど!わーい!初孫だー!」
初孫!素晴らしい響き!
この世界に生まれてきた時には考えられなかった快挙だ!
「生まれてきてくれてありがとうな~!ノア!レア!」
「えへへ~お義母様騒ぎ過ぎだよ~!」
「お義母さんらしいよね~!あ~家の赤ちゃんかわいい!」
「カロン!赤ちゃん振り回しちゃ駄目だよ!」
「マロン!高い高いは投げちゃ駄目だよ!」
「おいおい赤ちゃんが宙を舞ってるぞ。危ないからちゃんと見とけよ~。」
「あ、ジェイル。」
「おう!」
「実は名前もう決めちゃってて……。」
「おう?レアとノアだろ?」
「なんで知ってるの!?」
「いや、カノイ様の声が外まで聞こえて来てたから。」
な、なんだってー!?
「なんてな、嘘嘘。さっきエイルに聞いたよ。自由と幸せだろ?いい名前じゃん。」
「ごめんな~勝手に先に決めちゃって。」
「いいっていいって。その代わり、ひ孫の時は覚えてろよ?」
「ひ孫……。」
そうか、今から20年くらい生きればひ孫にも会える可能性があるのか。
なにそれ楽しみ過ぎる!
「よーし!目指せ60歳!目指せひ孫の命名!」
「おー!」
「お~。」
「エイルもジェイルも気が長いですね。」
「俺だったらもうちょいわがまま言うけどな。」
「皆気が早いよ~!」
「まだ赤ちゃんだよ!」
「それに家の子はやらんぞ!」
「俺達より強い人じゃないと認めないよ!」
おっと?なんか既視感があるな?
まぁそれでも将来はどうなるかはわからない!
そのためにもやっぱり目指せ60歳!
カノイ・マークガーフ、39歳、将来の楽しみが増えた冬の出来事である。
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