第153話:結婚記念日は忘れないであげてほしい
「カノイ様、そろそろ神の木の使用許可を……。」
「あ、忘れてた。」
そろそろ恋の季節だよ~!
ということであれから20年が経ちました。
そう、唐突な告白事件です。
「皆で結婚式とかやったな~。」
「懐かしいわね~全員分のウェディングドレス、カノイ様が繕ってたわね。」
「あの頃はまさかこんなに子供が増えるとは思わなかったな~。」
「いつの間にかもう20年か~。」
20年、長かったような、短かったような。
楽しい思い出がいっぱいの幸せな20年だったことは確かだ。
「お祝いしましょうよ!結婚祝い!」
「おいおい、毎年各ご家庭でやってるだろ~?」
「そっちは個々人で結婚した日にでしょ!?こっちは皆で結婚式した日のお祝いよ!」
「いいなそれ!お祭りが増える!」
「ファンもリボルも祭り好きだな~。よし!やるか!」
なんやかんやで家の住民は皆祭好きだ。
やろうと言われればとりあえずやる!
ということで結婚記念日もとい結婚記念祭が開催されることになった。
「カノイママ~今日何の日なの~?」
「う~ん、結婚式があった日、だな。」
「結婚祝いじゃなくて結婚式祝いってこと?」
「まぁ、うん、そうだな。」
「お祝いいっぱいで楽しいね!」
「そう言ってくれると助かるわ~。」
よく考えると意味わかんないからな!
式をした日を祝っているって!
まぁ楽しいから、これが一番大事。
「昔のウェディングドレス、着れるかな~と思ったら着れたわ。」
「俺とエイルも着れたわ。」
「結構きついけどね。」
「俺はもう着れない。ぱっつぱつだ。」
「僕もですね。もう羽織るだけにしましょうか。」
「え、私普通に入る。」
「成長してないんだな。」
「筋肉もつきにくいですしね。」
「言い方酷くない!?」
そりゃあ17歳から身長が伸びたり筋力が付いたりはしてないけれども!
え?成長してないの?私?
「カノイ様は頭脳労働のほうが多いからね~。」
「畑仕事も昔からしてたし、もう上限なんだろうな~。」
「もう伸びしろがない感じか~。」
「言い方がさー!」
酷くない!?これでも領主さまだぞ!?
お前らそんな上司でいいのか!?
「カノイ様以外嫌よ。」
「カノイ様だから親しみを持っていじってるんだろ~。」
「カノイ様じゃなくちゃ駄目だよね~。」
「え、何だよ~お前ら!」
すぐデレるじゃん!
ま、まぁそれはさておき今日は結婚記念祭!
皆の結婚を祝福するぞ!
「シェリルもこんな感じの結婚式がいいな~!」
「チェリルも~!教会もいいけど広場で皆でお祝いもしたいな~!」
「俺はね~大鍋でシチュー食べたい!」
「僕は教会で誓いの言葉を言いたいです!」
「我はスーツがいい!」
「よしよし!全部叶えような!」
もうすぐ結婚のシーズンか……。
皆の分のウェディングドレスを繕わなきゃな……うぅ……。
「泣くのは早いぞカノイ!」
「まだ誰と誰が結婚するのかもわかってませんよ!」
「そうだけど、そうだけどさぁ。カップルって出来始めると早いからさぁ!」
多分すぐ嫁入りしていっちゃうぞ……!
「カロンとマロンは嫁入りしてくれるって言ってたよ!」
「ジェイルとエイルも一緒に住んでくれるって!」
「マジか!あ、ジェイルとエイルは在宅勤務だから普通に今のままでいいぞ!」
「「そんな~寂しいこというなよ~!」」
実際のところ皆家族のようなものだけれど、住む家を変える必要はあんまりないからな。
いや、家に来てくれるのはうれしいが、利便性って大事だし、ジェイルとエイルは家にとって大切な処刑人とお医者さんだしな。
ちゃんと職場近くにいてくれた方が助かる。
「う~ん、まぁカノイ様がそういうなら仕方ないな。」
「確かに夜、急に駆け込みで診療に来る人もいるしね~。」
その辺はちゃんとしないとな~。
「家の子達も誰かと結婚するのよね。」
「わからないよ。ジェイルとエイルみたいに兄弟で繁殖するかも。」
「折角家族が増えるイベントなんだから、そうそうあってほしくないわ。」
「なんだよ~俺らだって相手がいたらな~。」
「そうだよ、勝手に結婚していっちゃったくせに~。」
「え?何よ、あんた達あたしに惚れてたわけ?ま、まぁ妥当ね!」
「「え?いや、ないない。」」
「なによー!」
「あはは!」
そうだな~誰が誰と結婚するんだろう?
寂しくもあるが、楽しみでもある。
いつか来るその日の為にも早いところ色々と準備しておかなきゃな。
カノイ・マークガーフ、37歳、楽しいお祝い事にするための色々な準備を進めようと心に決めた冬の出来事である。
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