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第149話:真面目なだけでは生きていけない

今年、シグナルさんのところから派遣されてきたのは彼が今年から養子にとったと言うシュテル君だった。

「ですから、これは等価交換。全うな取引です。」

「いや、家は綿は要らんし、良いよ普通に持っていって。」

「いえ、それでは価格が釣り合いません。なんでも構いません。何かお取り引きを。」

……と、このように、なんと言うか、堅物?

真面目そうな感じだ。

こういう相手には正攻法は効かない。

つまり!特殊攻撃に弱いということだな!

ということで何個かトラップを仕掛けてみることにした。

まずはこれだ!

「ところで今日のお茶菓子だが、我が村で作った木の実入りのクッキーを用意してみた。お口にあうだろうか?」

「クッキー?」

まず第1の矢!甘いもの!

真面目な堅物が好きだとギャップ萌えするよね。

「……。」

「お?」

思いの外好感触?と言うかクリティカルヒットだな!

先程までの堅苦しかった雰囲気が柔らかく丸いものへと変わる。

「!……いえ、失礼しました。その……美味しいです。」

「ふふふ、そんなかた意地張らなくても良いよ~。ゆっくりしていきな~?」

「そんな!いや、あの、はい……ありがとうございます……。」

第2第3の矢要らなかったな~。

別室で待機している第2の矢、子供好きだとギャップ萌えするよね作戦のシェリル達には第3の矢、可愛いもの好きだとギャップ萌えするよね要員の人形で遊んでいてもらおう。

「あのさ~ご近所さんにあんまり遠慮する必要はないぞ?長い付き合いになるんだし、腹割って話そうぜ?」

「……ぐすっ。」

あれ~?なんとなく、泣きそうな雰囲気がしてきたぞ?

「じ、実は、養子に貰っていただいて、嬉しかったけど、怖くて、真面目に頑張ろうって!それで……。」

「あ~そっかそっか!怖かったな~!よ~しよしよし!」

あれだな。真面目な性格なんだな。


「ぐすん……すみません……。」

「いいよいいよ!頑張ったんだもんな!クッキーもな!いっぱいあるから!持ってけ持ってけ!」

頑張りやな真面目っ子はほっとけねぇ!

いっぱい食え!元気に育て!

「家の子達とも仲良くしてやってな!シェリル!チェリル!リイン!グロウ!こっちおいで!」

「え。」

それから集まってきた子供達に慰められたり色々と質問されたりしてシュテル君は揉みくちゃになって笑っていた。

「あ、ですが、等価交換は大切です。信用第一ですから。」

……真面目は直らなかったが。

カノイ・マークガーフ、36歳、久しぶりの新しい出会いに浮き足だった冬の出来事である。

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