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第138話:吸収合併は双方の合意が必要

「長様!御英断を!」

「長殿!どうか!」

「う~ん?いや、前からそう言うもんかと。」

突然ウェアウルフ村の招かれて、お願いされたのは村の合併。

要するにマークガーフ村にウェアウルフ村を完全に吸収してほしいという話だった。

「もともとウェアウルフ村はマークガーフ村の傘下に入っているからわざわざ合併しなくても一蓮托生だぞ?」

そう、王国からの評価も商人達からの信頼も全部一蓮托生!

彼らが悪さしたら私達のせいだし、私達の評価が上がれば彼らの評価も相対的に上がる。

「ですが!住人表には"ウェアウルフ村"と表記されております!」

「そりゃあウェアウルフ村の住人だからね?」

ウェアウルフ村とマークガーフ村は住所的には別扱いだ。

要するに1丁目と2丁目みたいなものだ。

なのだが、

「ですが我々は"マークガーフ村2丁目"がいいとたびたび嘆願しております!」

「え~?ダサくない?」

彼らの言い分では"ウェアウルフ村"より"マークガーフ村2丁目"のほうがいいというのだ。

え、それなら"ウェアウルフ村"のほうがかっこよくない?

そもそも家の村も"マークガーフ村1丁目"になるの?

それは……まぁありか。

「ダサくないです!我々にもマークガーフ村を名乗らせてください!」

「えぇ……主張が強い。」

珍しく自己主張の強い彼らの姿に驚く。

彼らは基本的に強者と認めた相手には従順だ。

だからか私に強く主張することはほとんどない。

それがどうしてか今回に限って引く様子がない。

なぜ?

「我々にも誇りがあるのです!」

「我々の功績は長殿の功績!我々の努力は長殿の努力!なればこそ、我々は日々の精進を怠らずに済むのです!」

「お前達……。」

「それにウェアウルフ村よりもマークガーフ村のほうが商人受けもいいですし。」

「お前達~?」

結構現実的なとこ来たな~?

そりゃあ基本評価の低かったウェアウルフ達の名前を冠するウェアウルフ村は商人受けは悪い。

まぁそれでも15商会の助けがあって交易は行えているのだが。

「あのな、"ウェアウルフ村"っていうのはお前達の評価を上げるための名前でもあるんぞ?ウェアウルフという種族の地位向上の一助になればと思って……。」

「それはありがたいですが、我々は我々の評価よりも長様の村の評価が上がるほうがずっと喜ばしいのです。」

「"ウェアウルフである"という誇りよりも"マークガーフ村の住人である"ことのほうがよっぽど誇らしい事実なのです。」

「お前達……!」

なんて感動的なことを言うんだ!

こんなに良いことを言われては私が頑張らないわけにはいかない!

「よし!ちょっと書類作ってくるわ!2丁目でいいんだな?」

「「「はい!ありがとうございます!」」」

「よーし!やるか!」

そんなこんなでウェアウルフ達の村の名前は公式に合併、マークガーフ村となった。

ウェアウルフ達は大喜びで2丁目の看板なんかたてていた。

そ、そんなに喜ばれるとは……。

「ずるいぞママ!それならば我らの村も3丁目を名乗らせていただく!」

……ルーナの猛抗議によりルーナ村も合併されるのはこの数日後の話だった。

カノイ・マークガーフ、34歳、村の規模が大きくなり100人村も目前となった春の出来事である。

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