第137話:加齢は平等に訪れるもの
「腰が……腰が痛い……これが……老化!?」
「いや、昨日一日中雪掻きしてたからだろ。」
「あ、そっか。」
どうも、日に日に積もっていく雪と格闘しております、平凡な日常を送るカノイです。
今回は完全に雪掻きが原因だけど、今後は本当に老化現象が襲い掛かってくるかもしれない。
「食生活見直すか~。」
「見直すほど乱れてないだろう。」
「カノイ様は好き嫌いなく何でも食べますからね。」
「シェリルはお野菜嫌い~。」
「チェリルはお肉嫌い~。」
「俺は魚嫌い!」
「僕は香辛料がちょっと……。」
「皆好き嫌い結構ああるな?」
「好みの問題はあるよな。俺は苦いの苦手なんだよな。」
「僕の方も濃い味付けは苦手ですね。ルーナとルーは刺激物が苦手そうでしたし。」
「え?もしかしてなんでも食べれるのって私だけ?」
「最終的に残ったもの食べてるのはカノイだしな。」
「もったいないといって自分の分無しにして子供達の食べ残しだけ食べてた時は流石に注意しましたけどね。ありがたいはありがたいんですよね。」
「い、いやだって、もったいないから……。」
と、とにかく!食生活の見直しは必要なさそうだ!
「じゃあ次は運動だな~。」
「子供と遊んでるし、仕事も大半肉体労働だから大丈夫だろ。」
「「カノイママいつも遊んでくれるから好き~!」」
「鬼ごっこ!かくれんぼ!」
「お散歩も運動です!」
「子供の体力についていけているのなら、問題ないのではないでしょうか?」
「う~む。」
運動面も問題なさそう、かな?
となるとあとは……。
「老後の蓄えか!」
「物資は向こう十年は安泰だぞ?」
「農業も好調、植林も安定的。交易の方も案山子に絵本に薬品類と取引を拡張していますよ。」
「う、う~ん?思いのほか安泰?」
困ったような、困ってないような。
とにかく、今後生きていく上で早々困ることはなさそうな整い具合だ。
「え、じゃあもう他にやることないじゃん。」
「そうだぞ?適度に仕事して、適度に遊んでれば生きていける。」
「理想的な生活ですね。」
「そうかな~……そうかも。」
前世では一日の半分以上を労働に使い、余った時間で生活をしていた。
偶の休日は昼まで寝て、夜には友達と飲み歩いたりとかしてたなぁ。
考えてみれば不健康な生活だ。
まぁ楽しくなかったかと言われればそうでもなかったが。
今のこの生活が、私にとっては最高の生活なのかもしれない。
身体にとっても、心にとっても。
「……うん!いつも通りでいいな!さて、雪掻きでもするか。」
「いや腰痛めてるんだろ?今日は休めよ。」
「そうですよ。家で子供達とお昼寝でもしててください。」
「そうか?じゃあ遠慮なくそうさせてもらおうかな~。」
「「カノイママ~!お昼寝しよ~!」」
「俺はまだ遊びたい!」
「僕は本読んでます。」
「お前ら自由だな。まぁ成人したからな!好きに過ごせ過ごせ!」
子供達も成人し、ゆっくりと歳を取っていく。
今後の生活も幸せとちょっとのトラブルの溢れる楽しいものになるのだろう。
前世のお父様、お母様、私は今、幸せに生きています。
カノイ・マークガーフ、33歳、歳を取るということに危機感を覚えようとしたら思いのほか安心感のほうが強かった冬の出来事である。
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