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第133話:風邪をひいたら大人しくしていよう

「治らんな~風邪。」

ゲホゲホと咳をしながら独り言つ。

何となく熱い顔を手で冷やしながらどうしたものかと考える。

最悪デバッグモードで状態異常を消す感覚で治せばいいか~なんて思い放置していたのが仇となった。

どうやら風邪は治せないっぽいんだよな~。どうしたものか……。

「カノイ様。お粥ができましたよ。食べられますか?」

「うん、食欲はあるっちゃあるんだよな~。」

だからこそ、仕事ができないことが申しわけない。

畑仕事に書類仕事、視察に子育て。やることはいっぱいだ。

父上も母上も「いつもが働きすぎなんだよ」「今は休みなさい」なんて言ってくれているが、数週間続くとさすがに治ってほしくなる。

そう考えているとキィ……と音を立てて扉が小さく開いた。

お粥を食べながらそちらを向くと、グロウが泣きそうな顔で覗き込んでいた。

「ん!?どうしたグロウ?今部屋に入っちゃ駄目だって言われてるだろう?」

「カノイママ、死んじゃうの?」

「え。」

以前も同じようなことを聞かれた気がする。

そういえばこの子はそういった話題に敏感だったな。

「死なない、と思うよ?」

「本当に?」

「「本当にほんと!?」」

「うぇ!?」

グロウの後ろからシェリルとチェリルが思いっきり扉を開けて顔を出す。

どうやら最初から待機していたようだ。

「風邪、酷くなったら!命が危ないって!エイル先生が!」

ボロボロと泣きながらリインが言う。

エ、エイル……いや、間違っちゃいないんだが、子供達の前ではしてほしくない話だな。

「ママは最強だから死なないんだ。絶対死なないんだぞ!」

そう言って服の裾をぎゅっと握っているのはルーナだ。

この子はいつでも自由な印象だったからこんなに泣きそうな顔をしているという事実に驚く。

エイル……!

頭を抱えつつもどうするべきかを考える。

う~ん、そもそもこの風邪治るのか……?

ちょっと自分でも不安になってきた。

「カノイママ、60歳まで生きるって言ったもん……。」

「!」

……そうだな。私は60歳まで生きる。

そうして、大切な家族に看取られながら老衰で死ぬ。

そういう人生を送るために今までも頑張って生きたのだ。

じゃあ今回も頑張るしかないよな!

「うん!カノイママは60歳まで生きるぞ~。この風邪ももうすぐ治る!」

「「「本当に?」」」

「はずだ!」

「「「えー!」」」

「あはは!大丈夫だよ!食欲もあるし、元気だってほら、この通りある!これで治らないわけがないだろう?」

「う、うん!」

「カノイママがそういうなら……。」

「絶対治してね!」

「治ったら遊んで!」

「ママは最強だからすぐ治る!」

「よ~し!じゃあお粥も食べたし今日のところは寝ようかな!皆も温かくして寝るんだぞ~?」

「「「はーい!」」」

……さて、本格的に治しにかかるか。

まずはネギ的なものを首に巻き付けよう……!


その後、エイルに処方された新薬という異常に苦い薬のおかげで私の風邪は治った。

なんか王都まで走って取ってきたとか言ってたけど正直申しわけないな!?

ただそのおかげでこのインフルエンザもどきは沈静化したらしい。

なんか凄い奴らが続々と育っていっている気がする……。

カノイ・マークガーフ、32歳、流行り病が流行る前に鎮静化された冬の出来事である。

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