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第132話:風邪の感染は予防により防げると証明されている

秋は何やっても楽しい。

そう例えば目の前で起きている悲劇すらも楽しいものとして楽しめるのだ。

「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」

「久しぶりに見たな~この光景。」

そう、毎年恒例収穫祭である。

え?今まで一切話に出てこなかったって?

それは皆が気を使って私とこの植物達を遠ざけてくれていたからだね。

おそらくマンドラゴラの亜種であろう野菜達を楽しそうに掘り返す子供達。

今日はそんな子供達を観察している。

他の皆がこぞって風邪を引いたからである。

あぁ……恐ろしやインフルエンザ。

いやインフルかは知らんけど。

とにかく感染力の凄い風邪だった。

狩猟祭の時にたまたま職場に引きこもっていた私以外全員が風邪をひくとは、いや原因は明白か。

人が増えた都合もあって子供達は別途食べやすいようによく煮込んだシチューを食べていたから感染を免れたが、一緒に食べていたらどうなっていたことか……。

ということで今回は子供達が採った野菜で野菜のスープでも作って村人達に振舞おうということになった。

調理は私一人。

中々の重労働だが頑張るしかない。

「「カノイママー!いっぱい採れたー!」」

「よーし、鍋に放り込んでくれ~。」

わらわらと集まってくる子供達の中にヘリュックとカーロがいないことに気が付く。

「あれ?ヘリュックとカーロは?」

「あっちでプルプルしてる。」

「プルプル……?」

どういう状況だ?と思いルーナの指さした方に向かう。

と、プルプル震えながら団子になっているヘリュックとカーロの姿が!

「どうしたどうした?二人共。」

「お耳がキーンって……。」

「怖い顔が迫ってくるよぉ……。」

「あぁ……。」

聞いて納得。聴力の鋭い耳を持つウェアウルフの子供達が被害にあっていたようだ。

更にあの野菜達の悲鳴を上げる顔は確かに小さな子供にはトラウマものだろう。

「2人は今年初めて参加したのか?」

「「うん……。」」

「そうか~なら苦手なこともわからないよな~。よし!来年からは調理係のほうに参加するか!」

「え。」

「いいの?」

「いいよ~私も昔は野菜達が苦手でな~大人の手伝いをさせてもらってたよ。」

そういうとヘリュックとカーロは安心したように顔を見合わせて頷いた。

「じゃ、じゃあ今年からお手伝いします!」

「今年も何もできなかったから……!」

「そうか?じゃあ鍋を混ぜるのを手伝ってもらおうかな~。」

流石に怖がっている野菜と向き合いながら切れっていうのは酷だ。

私は二人と手を繋いで帰路についた。


「あ!ヘリュック!カーロ!おかえり!」

「カノイママ!お野菜千切っといた!」

「千切った!?」

そう言ってリインが差し出してきたのは一口代に千切られた野菜……だった者達。

「そうか!子供だけで刃物を使っちゃいけないって言いつけを守ったんだな!偉いぞ~お前達!」

「「「えへへ!」」」

「よし!じゃあ後は鍋にぶち込んでじっくり煮込むだけだな!ヘリュック!カーロ!出番だぞ!」

「「は~い!」」

大鍋を囲んで子供達が野菜を放り投げる。

さながら玉入れの様だ。

「こらこら、横着しないで踏み台に乗って入れなさい。」

「「「は~い。」」」


「よし!出来たな!じゃあスープを配るから皆は先にマークガーフ家に避難しておいてくれ。」

「お泊り~?」

「合宿だ~!」

「うんうん!教室で寝泊まりしていいぞ~。」

「「「わ~い!」」」

「……さて、このパターンあれだな。最終的に私が風邪ひく奴だ。」

まぁ今回はしょうがないな!皆後はまかせた!

スープはなんやかんやで完売した。

村の皆は風邪が治ってから私や子供達にかわるがわる感謝しに来てくれた。

そして予想通り私は風邪を引いた。

カノイ・マークガーフ、32歳、なんやかんや交代で看病をすることになった秋の出来事である。

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