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第131話:愛情に溢れる家庭は反抗の意味無し

「にーちゃ!助けて!クルスが反抗期!」

ヘディンからのヘルプ要請に作業を止めて目線を合わせる。

お~大きくなったな~。

「にーちゃ!そんなこと言ってる場合じゃないよ!クルスが反抗期なの!」

「反抗期っていつかは来るって言うよね。よくよく考えると家の子達には来なかったな。」

「どうすればいいの?」

「そっとしておいてやるのがいいんだが……それだと何にも解決しないよなぁ。」

こういうのは"試し行為"であることが多い。

自分がどんなことをしても相手は愛してくれているのか、それを確かめようとするのだ。

しかし、愛情たっぷりの家で育った子供達にはほとんど反抗期がない!

何なら反抗期だとわかるくらいの反応をしているのはかなり珍しいのだ。

いったいクルスに何があったんだ?


「クーちゃん!」

「ヘディン!」

「クルスは?」

「部屋に引きこもっちゃってて……」

「そうなのか。こりゃ重症だな。」

「長様!」

「クー。家族なんだからカノイでいいぞ~。」

ウェアウルフは礼儀正しいというか、立場を尊重する奴が多い。

未だにルーも長殿呼び出しな!

……もうちょっと親しげに話しかけてくれてもいいのよ?

「クルス!クルス?なんで引きこもっているの?」

「知らないもん!」

「どうしたの?何か嫌なことでもあった?」

「……。」

お?当たりっぽい?

「だって……。」

「うん。」

「耳と尻尾があるから。」

「うん?」

「うん、可愛いよな。」

「それ!」

「え!?」

「皆耳と尻尾を触りに来るの!皆と違うから……。」

「いやでも、昨日まで普通に触らせてあげてたじゃん!」

「だってルーナが嫌がるんだもん!……でも、皆と違う耳も尻尾も嫌だった……!」

「クルス……。」

「クルス……そんな風に思ってたんだ……。」

「……う~ん。」

これは結構深刻かもしれん。

しかし、そんなに悩むことなのか、とも思ってしまうのは私が普通の人、普通の人?普通ではないな?

じゃあこういう時どうされると嬉しい?

……。

意を決してドアを思いっきり開ける。

鍵はないので実は簡単に開くのだ。

「え!?」

「よーしよしよし!」

「なに!?何!?」

「クルスは可愛いな~可愛いお耳にモフモフの尻尾!家の家系の子だから顔も可愛い!」

「え、え?」

「ウェアウルフは皆モフモフしてて温かくて抱き心地がいいな~よーしよしよし!」

「く、くーん……。」

「にーちゃ!クルスが可哀そうなことになってるよ!」

「顔真っ赤!涙目!」

「お前達も可愛いな~ウェアウルフと人の懸け橋になる存在なんて偉いぞ~!よーしよしよし!」

「「え?えへへ。」」


「分かったか。ウェアウルフとか人とか関係ないんだ。クルスが可愛いから皆可愛がっているんだ。」

「……はい……。」

「クルス顔真っ赤なの治らないね?」

「照れてるの。そっとしておいてあげよう。」

「うぅ……。」

「それに、皆クルスの耳も尻尾も含めてクルスが大好きなんだぞ?触りたがるのも大好きからなんだよ。」

「うん……。」

「そんな大好きなクルスが、自分のこと嫌いなんて、私達悲しいな~。」

「……!」

「うん、ヘディンも悲しい!」

「クーも!」

「パパ……ママ……。」

「だから、自分のことを大好きになれとは言わないけれど、お前のことを大好きな人がいることだけは忘れるなよ?」

「…………うん!」

よし!これにてマークガーフ家反抗期事件解決!

「でも長様は撫で過ぎだから控えてね?」

「うん、恥ずかしい。」

………………!?

カノイ・マークガーフ、32歳、愛情のごり押しで反抗期を解決した夏の出来事である。

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