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第129話:精神的に追いつめられると本性が出る

「やだ!ソルテが先に抱っこしてもらうの!」

「違うよ!フェリスが先なの!」

小麦畑の視察中、フロージを挟んで喧嘩をしているのはいつも仲良しの甘えん坊兄弟。ソルテとフェリスだ。

どうやらどちらが先に抱っこされるかを争っているらしい。

「カノイおじちゃんの手なら空いてるぞ~。」

「「カノイさんは黙ってて!」」

……しょんぼり。

どうやら今日はフロージ限定の甘えた期らしい。

フロージのほうを見ると困ったように、しかし、幸せそうに笑っていた。

「……お前は本当に可愛い弟だ。」

「わ!急にどうしたのお兄ちゃん!」

頭を撫でてやるとやはり幸せそうに笑ってくれた。

う~ん、ほのぼのするな。

そんなことをしている間にもソルテとフェリスの喧嘩は激しさを増していく。

「も~!ソルテ嫌い!フェリス帰る!」

「あ……!」

そう言ってフェリスは自宅、マークガーフ家に向かって走っていく。

「ま、待って!」

ソルテもそれを追いかけていく。

「と……!追わないとな。」

「待って!お兄ちゃん!」

追いかけようとするとフロージに制止されてします。

え、なんで?

「兄弟だもん。本人同士で話し合うのが一番大事だから。」

「フロージ……。」

いつの間にか大人になっていた弟に感銘を受ける。

子供達の成長のことも考えられるようになったんだな……!

「でも本当に大丈夫かな……。」

「大丈夫だよ。ほら。」

そう言って指を指す先にはフェリスにタックルするソルテの姿が!

「あ。」

「あ。」

大丈夫じゃないかもしれん。

「ソルテ!フェリス!」

フロージが飛び出していく姿を見送る。

うん、家族のことだからね。見守ろう。

「……。」

「……。」

「ソルテ?フェリス?」

「……ふふふ!」

「……あはは!」

「え?」

「ふふふふふふふふふふふふふふ!」

「あははははははははははははは!」

「え?え?」

「やるか貴様!」

「おうよ!蹴散らしてやる!」

「ソルテ!?フェリス!?」

「……う~ん、大丈夫じゃない。」


「あー!楽しかった!」

「楽しかったねー!」

ソルテとフェリスがその辺に落ちていた枝でチャンバラを始めてから数時間。

と、手を出せずにオロオロしているフロージ。

を眺めている私。という構図。

「帰ろっか!」

「うん!」

「……。」

「……私達も帰ろうか。」

「……ぐすっうん。」

こうして兄弟げんかは収まり、甘えた兄弟は仲良く、大人になった私達兄弟は久しぶりに仲良く手を繋いで帰宅するのだった……。

カノイ・マークガーフ、31歳、思いもよらない方向性での成長を垣間見た冬の出来事である。

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