第117話:人様に迷惑をかける奴は嫌われる
冬の雪は恐ろしいものですが、今現在は何とか問題ないレベルを維持しております。
「パパ、今年の冬も無事に越せそうだね。」
「ああ。だが油断はできない。この世界にはモンスターがいるからな。」
「そうですね。ですが、私は大丈夫だと思っていますよ。なんたって私達の息子ですもの!」
「そうだな……。」
お父様はそう言いながら私の頭を撫でてくださった。
息子のことを想うと母上に同意するしかないが、やはり不安があるといった顔だ。
うーむ、大人になって仕事を手伝うようになってわかったことだが、父上は結構心配性だ。
外回りを好んで内政をほったらかしにしたりと豪快なように見えて結構内情に詳しかったり繊細な部分がある。
まぁだから本気で文句は言えないのだが……たまに怒るくらい許してほしい。
だって書類が多いのだ。
本当にケットシーの手も借りたい。
なんて言っているが実は、誠にありがたいことに現在ジョルジュの参加によって仕事量が安定しつつある。
お父様がいなくても回る!って言うとなんか嫌な感じだけどなんとかなるようになってきているのが事実だ。
このまま皆が成長してくれれば私がいなくても仕事が回るようになるはず!とも期待している。
おっと、話がそれたが、父上はこの国の内情に詳しい。
そんな父上が不安を感じているということは実際問題何かしらの不安要素が湧いて出てきているということだ。
モンスターか……何ならモンスター狩りでもすればいいのでは?
「パパ、冬も狩猟祭をすればいいんじゃないかな?」
「え?」
「パパが気になっているのって家以外の村とかのことでしょう?それなら遠征をしてその不安要素を減らそうよ。」
「カノイ……お前はいい子だな。だが、私の不安だという気持ちだけで村の領民を危険にさらすわけには……。」
「あら?スヴェンあなた知らなかったの?あなたの予感って大体当たっているのよ?」
「え?」
「お隣村の飛竜騒動に隣町の野良カトブレパスの暴走。昨今になって問題が出てきているって話は散々聞いたじゃない。あなたがずっと不安に思ってきたことが実際におこっているのよ?解決しようとするのも無駄じゃないわ。」
「シシー……。」
「それに村人も言ってたよ。「冬は引きこもってばかりだから体がなまる」って。やって損はないと思うよ。」
「カノイ……。そうか。そうだな。行っても数日のことだ。一度やってみるか。」
「そんなわけで!冬の狩猟祭!始まるよー!」
「「「うおおおぉぉぉ!!!」」」
「皆!斧は持ったかー!」
「「「うおおおぉぉぉ!!!」」」
「安全第一ー!」
「「「うおおおぉぉぉ!!!」」」
「いい返事だー!じゃあ行くぞー!」
「「「うおおおぉぉぉ!!!」」」
そんなわけで始まりました!冬の狩猟祭!
近隣の村々の安全確保の旅の始まり始まりー!
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
「あなた方のおかげで今年の冬を安心して越せます!」
「おにいちゃんたちのおかげでおそとであそべるよ!またきてねー!」
等々エトセトラエトセトラ。
思いのほかマークガーフ村一団歓迎された。
それもそのはず。
潤沢な食料資源と人材による蹂躙。
特に見返りもなくモンスターを狩って食べてるだけの集団なんて……普通に怖いな。
なんでみんな普通に受け入れてるんだ?
普通に怖い集団なんだけど!
「自分に利があるからでしょうね。」
「普通にモンスター食は流通してるしな。目の前で狩って食べてるから多少は怖いだろうが。」
「いや普通に怖いよ~。モンスター狩れる奴らが急にきてモンスター狩って帰っていくの。」
「まあまあお兄ちゃん!皆感謝してくれているしいいじゃない!」
「皆笑顔!にーちゃのおかげだね!」
そうか、みんな喜んでいるか。じゃあいいのか。いいのか?
まぁこちらも食料が無料で手に入るのだから嬉しいし、問題は何もない!はずだ。
よ~しこのまま国中の問題起こしているモンスターを狩るか~!
カノイ・マークガーフ、28歳、色々あって国から感謝状を貰ってしまった冬の出来事である。
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