第115話：縁故採用は信頼の現れ
「カノイ様！お客様です！」
「え、だれだれ？」
暑い夏の日、思い出すのは向日葵畑。
「カノイ様！お邪魔いたします！」
「カノイ様！お約束通りお仕えしにまいりました！」
「え！？ジョルジュ！ナナリー！」
懐かしい顔が合いに来た！
「父が昨年亡くなりまして、後を追うように先日母も……。」
「そうか……。」
「両親の死もありますが、年齢的にも僕達も自立しなければと思い二人でこちらに伺いました！」
「以前お会いした時から剣の腕も磨いてきました！どのようなことでも対応できます！」
「ですから、どうか僕達を雇っていただけないでしょうか？」
「もちろんだよ！人手があるのは助かるし、何よりエミリーさんとアランさんの子供だもの！期待してるよ！」
やったぜ！
人手不足だったのが嘘のように人が集まってくる！
「というわけで、今日から執事になるジョルジュとメイドのナナリーだ！皆よろしく！」
「はいはーい！宜しくね！」
「はーい！宜しくお願いします！」
「よろしくです。」
「宜しくお願いしまーす！」
「皆さん！宜しくお願いします！」
「宜しくお願いします！」
「よしよし！自己紹介は終わったし、あとは仕事についてだな。」
「はい！ヘディンが教えるよ！」
「お？偉いぞヘディン！先輩としてジョルジュに色々教えてやってくれ！」
「えへへ！先輩だから頑張るね！」
「ヘディンさん！宜しくお願いします！」
「ナナリーは私が案内するか。基本は家事全般になるけど大丈夫？」
「はい！家事全般得意です！」
「頼もしいな～じゃあ行くか！」
そうしてお家ツアーは始まった。
「ここがキッチン。ここからがリビングで、あっちが出入り口。」
「ふむふむ。」
「この辺から学校になっている。」
「へー！」
「であっち側が寝室で、この部屋がナナリーの部屋になる！予定！」
「わー！」
「隣がジョルジュの部屋の予定だ！さて、ここまでで何か質問あるかね？」
「あの～お手洗いは。」
「あ、忘れてた！あっちあっち！」
「へーお風呂広いですね。」
「そうそう、夏だとここをプールとして開放してるから、入ってもいいぞ～。」
「すごーい！」
ふふふ、実は家はすごいのだ！
広くて人が集まる！
要するに、
「掃除が一番大変なんだ……！」
「へ？」
「メイドさんだけじゃ手が回らなくてよく私も掃除している……。」
「偉いですね。」
「ナナリー、君には出来うる限りの掃除力を期待している……。」
「が、頑張ります！」
「うん、宜しくね～。という感じで案内は終わりかな？」
「ありがとうございました！」
「大丈夫だよ～これからよろしくね？」
「はい！」
その後、ジョルジュとナナリーは家にすっかりなじんでいった。
元からそこにいたかのように……うん、エミリーとアランを思い出す。
いつかは二人に執事長とメイド長を任せてもいいかもしれない。
それくらい彼らは、信頼できる新しい仲間になっていくのだった。
カノイ・マークガーフ、28歳、懐かしくも新しい風が吹く夏の出来事である。
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