第111話:クーラーは苦しむ前につけよう
暑いな~夏です。
「暑いね、ママ。」
「そうね~。」
私は今、家にいる。
いや、私だけじゃない。
父上もフロージもヘディンもいる。
リボルもヴァイスも子供達もいる。
つまり家族全員いる。
しかしみんなだらしなく地面に寝そべっている。
これは別にいいのだ。
暑いから仕方ない。
だが、この暑さでクーラーがないのはどうなんだ?
まぁなくても死ぬことはないけど、いや、死ぬかも。
そんなわけで作りました。
現代式クーラー!
(人間!そろそろ外に出ていいか?)
「あ、まだ待って。冷風が来てないから。」
仕組みは簡単!箱に詰めた氷の妖精に送風して冷気を充満させる!以上!
ちなみに動力は氷の妖精の善意で成り立っております。
(人間!これで死なないか?)
「あ~生き返る~。」
(人間!?死んでたのか!?)
まぁこんな感じで、氷の妖精とは仲良くやっていたりする。
偶に花の妖精も遊びに来るし、雷の妖精を森の近くで漂っている。
森は……常に雷雲が漂っていてちょっとホラーな様相になったが、皆元気に生きてるよ。うん。
(人間!お仕事疲れた!アイスを所望するぞ!)
段々と遠慮もなくなってきて今ではこんなに気軽くなっていたりする。
「よ~しよし、ミルクキャンディを授けよう。」
(わーい!)
さて、この恩恵を皆に広めるか。
「ハイウィンド!」
(わー!)
村中に届け!冷気!
(酷いぞ人間!飛んでっちゃうぞ!)
「あぁ、ごめんごめん。」
この方法だと従事者のストライキの可能性が出てくるな。
やっぱり一家に一台妖精箱ことクーラーを普及していくか~。
とりあえず最初の一台は家で使わせていただいて……。
「あ~涼しいわ~。」
「これが欲しかった~。」
「冷蔵庫もいいけどやっぱりこっちだね~。」
たまり場になっとる!
「ファン!ジェイル!エイル!いつの間に家に来たんだよ!?」
「ずるいわよカノイ様!こんないいものを隠し持っていたなんて!」
「なんか冷気が来たな~と思って出所を辿ってきたらここに着いたんだよ。」
「一瞬でも村中を冷やせるなんてすごいね~。熱中症対策にもいいかも。」
「まだ1台しかないんだよ~今後妖精に協力を頼んで量産するからそれまで我慢してくれ~。」
「「「はーい!それはそれとしてここには居座るけど!」」」
「やめろ~働け~。」
皆在宅勤務でしょうが~。
うーん、これはあれだな。便利なものを知ってしまったからこそのもう戻れない奴。
早いところクーラーを普及せねば。
「というわけで、お友達を呼べないかな?」
(うーん、いいぞ人間!アイスをいっぱい宜しくな!)
まぁその辺は各ご家庭で確保してもらうとして、とりあえず数は何とかできそうだな!
来年までには全ご家庭に普及したいな~。
(うん!美味いものくれるなら頑張るぞ!)
「ありがとな~また暇なときにでも遊ぼうな~。」
(わーい!)
……うん、子供みたいで可愛いね!
カノイ・マークガーフ、27歳、暑い夏を快適に過ごすための改革をした夏の出来事である。
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