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4話 修羅場ってあるんだ

「え、いや、あの。涼深さん?」


「あ?なに。」


「そ、その、怒ってらっしゃいますか?」


「いや別に。」


あーこれ絶対怒ってるパターンだ。涼深ほったらかしてほかの女の子と喋ってたらそりゃ怒る…のか?いやだって涼深とはただの幼馴染な訳だし、別に怒られる要素はないよなぁ。じゃあ何に対して怒ってるんだ?あ、そうか。涼深もポテトだけじゃ足りなかったんだな。


「え、えーっと、追加注文でナゲット頼んだからさ。15ピースも。だからさ席で待っててよ、ね?」


「そんなのはどうでもいいの。來八、その女誰?」

 

きゃー!怖い怖い怖い!殺される。これは絶対に殺されるって!おなか減ってたわけじゃないの!?ど、どうして周防見さんのことを気にしてるんだ?わからない、本当にわからない。と、とりあえず今は周防見さんの説明に徹しよう。それしかない…


「こ、この人は周防見遥華さん。さっきあからさまなナンパにつかまってて、困ってそうだったから助けただけなんだ。本当にそれだけだ!」


ん?なんでこんな浮気がばれて必死に言い訳する彼氏みたいなこと言ってるんだ?俺は。


「あ、そう。で、助けたんならもういいでしょ。早く席戻ろ。」


「お、おう。じゃ、じゃあね。周防見さん。」


「ま、待ってください。く、來八君!」


「え、えぇ?まだ何か周防見さん…」


「來八君ともっとお話したいです…だめですか…?」


なんでそんな「いかないで…」みたいな物憂げな顔するのこの人!ヤンデレってもっと影の方から「好き。」みたいな感じであんまり干渉してこないんじゃないの!?(※個人の主張です)

せっかく丸く、とはいかずとも割と穏便に済むと思ったのに。これじゃまた涼深さんが…


「ほ、ほう?ナンパから助けただけなのにずいぶんと仲良くなったみたいじゃない…いいわ、3()()()お話ししましょう?ね?來八。」


「は、はい。そうしましょう、それがいいと思います。」


「や、やったぁー!これで來八君ともっとお話しできますね。」


嫌な予感しかしない、この3人でお話って。何話せばいいんだ?かわいい女の子2人って言っても、片方はお怒りモードだし、もう片方は俺が能力でヤンデレにしてしまった人だし。もう前途多難だよ…生きて帰れる自信がない。これがいわゆる「修羅場」ってやつなんですね。大変だ…


「で、何についてお話しするのかな?周防見さん。」


あ、これ桃のフラッペです。と涼深には渡しておく。


「え、えーっとね。來八君がどんな女の子が好き、とかかな…?」


「お、俺の好きな女の子のタイプ!?」


「ほ、ほー。來八の好きな女の子のタイプねぇ。周防見さんはどうしてそんなことが聞きたいのかなぁ?」


何この人、口は笑ってるけど目が笑ってない…


「そ、その。來八君好みの女の子になりたくて…」


「あらこれはまぁずいぶんと、周防見さんには気に入られてるのねぇ?」


ひえぇぇぇぇ!涼深さん怖い!そしていてえぇぇぇぇ!この人めっちゃ太ももつねってきてるー!つねるってか(ねじ)るだよこれは!ものすんげぇ痛い…


「お、俺の好きな女の子はおしとやかで、清楚な子かな?」


「あ?」


わお、視線で伝わってくる涼深の気持ち。絶対に涼深さんの地雷踏んだ。確かに涼深のタイプとは真逆だけども別に俺のタイプなんて涼深には関係ないじゃん!ま、まさか涼深は俺のことを…?いやないない。俺と涼深は兄弟みたいなもんなんだ。前だって一緒に風呂入るくらいだしな!(中1で最後だった)


「そ、そうなんだ。清楚な女の子…私頑張るね、來八君!」


「え!あぁ。でもその、もう会う機会はないと思うし、あんまり意味ないんじゃ…」


「えぇー、來八君もう会ってくれないんですかぁ?」


「い、いやぁ。会ってもいいんだけど…」


「何來八、周防見さんがかわいいからってニヨニヨしてんの?気持ち悪い。」


「し、してねぇよ!いや別にしてたとしてもいいだろ!」


「いやよくない。私が許さない。」


「なんでだよ!」


これはだめだ俺の身が持たない。だってさっきからずっと涼深は俺の太もも捩ったまんまでやめてくんないし、周防見さんはヤンデレになっちゃったせいでぐいぐい来るし。この状況からいち早く脱出しなければ…無理やりかもだけどこの方法しかない。


「あ、あぁ!お、俺母さんから買い出し頼まれてるんだったわー!は、早くいかないとー!」


「じゃ、じゃあ私もついていきます!來八君ともっとお話ししたいから…」


「そ、それは悪いよ!今日会ったばっかの周防見さんに付き合わせるわけにはいかないかなぁ!」


「そ、そうですか。じゃ、じゃあラインだけでも…」


「ん、あぁ。ラインね。じゃあこれQRコード。そんじゃ急がないとだから!」


「まって、來八!」


「涼深も気を付けて帰れよ!」


危ない危ない、めちゃくちゃ適当な理由とはいえ脱出には成功した。涼深と周防見さんには悪いけどほかに方法がなかったんや。涼深にはあとで謝罪のラインしとこ。


つづく


來八君の平穏はいつになったら戻るんでしょうか…

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