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1話 俺の将来が心配

拝啓


お母さん、お父さん。


俺、櫻葉(さくらば)來八(くるや)17歳は今日をもって未来の暖かな日々を捨て、私利私欲に満ちた女子達とのタノシイ、タノシイ生活を送ることになりました。だが、そんな生活は嫌なので…




どうか俺の将来を明るく照らしてくださいぃぃ!



さて皆さん、ヤンデレというものはご存知ですか。

最近のラノベやアニメなど、二次創作の中では他の追随を許さないほどに人気の属性となったヤンデレ。


しかしそれは「あくまで」創作物の中であるからこそ萌えるのであって現実にいたらただのおぞましい人間でしかないのです。


俺も二次創作のヤンデレというものにはものすごく萌えを感じ、大好きなキャラ設定であると言えるのだが、俺の周りの女子達は…うん、なんとも形容し難い性格の子達が多くて…


一言でヤンデレと一纏めにしていいものかと疑問に思うほど。ただ一つ言えるのは、


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


ということだけだ。

教室で鞄からノートをぶちまけてしまいあたふたしている女子を手伝って、「ありがとう。」とお礼をもらった翌日、何故かその子は俺の名前の刺繍が入った袋を抱え、


「さ・く・ら・ば・く・る・や…フフ」


と刺繍の文字をなぞりながらこちらの方をみつめてくると言ったように、俺のたった一つの行動で何のかかわりもなかった女子達が俺にデレ(?)、なぜかヤンデレじみた性格に変化してしまうという能力がある。


しかも効果は絶大でなんと持続(むげん)

こんなとてつもない能力を手にしたのには理由がある。

突然だが、この能力を手にした時のことについて少し語ろうじゃないか・・・


◇◇◇


「ぇ…ねぇ、聞いてるの?ねぇ、來八…來八!」


「ん、なんだよ。うるさいなぁ、寝てるんだからそっとしておいてくれよ。」


「あんたまだ寝るつもりなの?もう放課後だよ?」


「ほうか、放課後!?なんで授業中誰も起こさないんだよ!!」


「寝てるあんたが悪いんだよ…」


昨日夜更かししたんでしょ。と哀れなものを見るような目で俺のほうを見てくる彼女の名前は、飛花屋(ひかや)涼深(すずみ)。彼女とは幼稚園からの付き合いだ。こいつとは家が隣同士で俗に言う「幼馴染」というやつだ。だがここにお約束のように涼深が俺のことを好いているといったありふれたテンプレはない。


こいつとはただの腐れ縁で親同士が仲いいみたいな…ってここはテンプレだな!じゃなくて、お互いに恋愛感情があるってのはまずない話であるということが言いたいのである。さすがに幼稚園からということで関わっている時間も長いのだが俺たちの間にあるのは熱い友情であり、固い絆なのだ!(人生で一度は言ってみたかったセリフ)


「さてと、知らん間に授業も終わったみたいだし帰るとするか。」


「知らん間って…ハイハイ、帰りましょうねぇ。」


「そういや、朝母ちゃんが涼深んち親いないんだったら晩飯食ってけて言ってたわ。」


「なんでそんなこと今言うのよ。今朝だって一緒に登校してたじゃない…」


「悪い悪い、忘れてたわ。」


「ちょうどよかったわ、どさくさに紛れて來八んちで食べようと思ってたし。」


「どさくさって…」


こんな感じで俺の母親も実の娘のように涼深をかわいがっておりって、こんな長い前置きはさっき散々したんだからいらない?ちょっと待ってくれよぉ。もうすぐ能力覚醒イベントが来るんだから、つかの間の俺の青春会話イベにケチつけないでほしいな!うるさい?ハイハイわかった。

じゃあ能力覚醒直前まで3、2、1、ドゾ


「ふ、ふわぁあ、寝起きだと眠気抜けきらないな。」


「世の中切り替えが大事なんだから、歩いてる時くらいもっとしゃんとしなさい。」


「そうは言ってm…」


「來八、信号!」


「え?」


その時、「キキィィィィィィッ!!」と急ブレーキの甲高い音とともに俺は気絶した。

完全に俺が悪いのだが、それなりのスピードで走っていた乗用車と俺はタックルバトルをし完膚なきまでに俺の敗北となった・・・


「あたたた、これあたたたで済むのか…ってここどこだ?」


さっきまでいた十字路の交差点ではなく謎の黒い空間(俺の語彙力ではこのくらいの表現が限界)にただ一人突っ立っていた。見渡す限り何もなく、視覚から得られる情報としては黒い、終わりがないほどにこの空間は広いということしかわからない。


「ほんとなんなんだよ。もしかして死んだ?17歳で?」


まだ童貞だって卒業してないのに…などと考えているとどこからか声がする。


「あ、あー。聞こえるかなぁ、おーい。」


「は、はーい。」


と虚無から俺を呼ぶ声。はてさてここの主なのだろうか。


「ちょっと待ってね。えーと、いた。君が櫻葉來八君だね?」


「は、はい。そうですけど…」


「どうやら君は高校二年生にもなって彼女の一人や二人も作らず、幼馴染とイチャイチャする毎日を送っているそうだねぇ。」


「イチャイチャってなんですか、イチャイチャって!!俺と涼深の間にあるのは熱い友情だけですって!」


「はて、どうなのかな。あっはははは!」


「ば、馬鹿にしないでくださいよ!ってじゃなくて俺をこのよくわからない空間に呼んだのにはなんか理由があるんですか?」


「あ、あぁ、忘れてたごめん。許してちょ。」


「馬鹿にするのも大概にしてくださいよ…」


この虚無空間の主絶対許すまじ。


「君をここに呼んだのには理由があるんだよ。それは…」


「…ゴクリ」


「「この地球上でもっともヤンデレに好かれる存在にするためさ!」」


ヤ、ヤンデレに好かれる??地球上でもっとも??


「な、なんだってぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」


つづく




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