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あふれてこぼれてうけとめて  作者: 茅桐 弓
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第一話

ああ、君がこの手からこぼれ落ちて行くのを僕はただ黙って見ていることしかできなかった。


なんてことない春の日に、ちょっぴり変わった女の子と出会った。暖かな日差しの中、揺れ動く桜がとても綺麗だったのを覚えている。名前なんて知らなかったけれど同じ学校の制服を着ていたから『あー、同じ学校なのかな』なんて考えたりして。平凡な僕の高校生活は幕を開けた。入学式の校長先生の話は長くて退屈だったけれど。司会のアナウンスが流れた。次は新入生代表の挨拶らしい。新入生代表の言葉に選ばれた子はさっき見かけた女の子だった、なんて漫画みたいな展開があるはずもなく、黒縁メガネをかけた真面目そうな男子だった。知らない人が多いであろう環境で新入生代表の言葉を述べる彼は僕にとってとても輝いて見えた。


春にしては風が強く桜の花びらが舞い上がった目線の先でこちらを見ていた男の子。すぐに目をそらしてどこかに行ってしまったけれど彼はいったい何を見ていたのだろう。退屈な入学式。『新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。これからは我が校の校則を守り、規則正しく行動してください』って、校長先生も毎年毎年同じことを言ってるんだろうとか思いながら。あまり話に集中してなかったけれどなんとなくは聞いてた。『次は、新入生代表の挨拶です』司会がアナウンスした後近くにいた席の子がパッと立ち上がって壇上に向かっていった。『あの男の子がこの学校に一番の成績で合格したんだ』なんて呑気なことを考えていた。周りは少しざわざわしていた。

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