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世界を回って邪神討伐!   作者: おいちゃん
8/28

1章の8

さて、旅の準備をするにしても初めての遠出だ。

何を持っていけばいいだろうか。

一階の物置に向かう。色々見繕わないとね。


「まずは服が必要ね。下着はここに置いておくわよ」

「ああ、助かるよミア。慣れてないと準備も大変だな~」


っておい、まて。なぜミアが家にいる。招いた記憶がないんだが。


「どうせ旅の支度とかしたことないんでしょ。手伝ってあげるわよ」


ヤレヤレといった風に肩をすくませている。それはいいんだが・・・。


「ポケットに入れた俺のパンツを返せ。そしてお前のブラジャーを服の間に残していくな。」


ばれないとでも思っているのか。っていうかポケットからはみ出しているし。


「やぁね。等価交換よ。錬金術の基本じゃない。まったく、忘れたの?」


こいつ~と言いながらおでこをつつくな。そういうことを言ってんじゃねぇんだよ。

パンツとブラジャーを再等価交換。ミアのポケットからパンツを取り戻しブラジャーをねじ込む。

まぁ正直手伝ってくれるのは助かるんだが余計な手間も増えそうで手助けを頼んでいいのか判断に迷うな。


「アレン、鞄はどれに入れていくの?できるだけ身軽にしないと色々めんどくさいことになるわよ」

「ああ、鞄は・・・、あっ、そうだ。神様からもらった鞄があるんだ」


忘れるところだった。なんででも入れれる鞄をもらったんだった。


「これになんでも入れれるみたいだから荷物が多くなっても問題ないな」

「あら、珍しい。マジックバックね。容量はどれくらいかしら。」

「容量?」

「ええ、普通のマジックバックには容量に限界があるのよ。私は大体縦・横・高さが4メートルくらいの空間に入れれる物を持ってるわ。バックに魔力を流すと感覚でわかるわよ。」

「わかった。魔力を流せばいいんだな?」


ん~。あれ?これって------。


「大分容量がでかそうだ。」

「高価なものなら家を数軒入れれる物もあるって聞いたことがあるわ。国宝級よ。どこかの美術館に安置されているらしいんだけど一度見てみたいわね。」


ミアが楽しそうに話しているが


「なんか感覚だけど、多分この大陸ぐらいは入りそう・・・。」

「え、なにそれ怖っ!」


なんかやべぇ物を貰ってしまった。これも神器なのだろう。


「アレン、ちょっと見せてもらってもいい?」

「ああ、いいよ。」


はい、とミアに差し出す。

ミアが震えながら嬉しそうに鞄に触った瞬間。

にょき。

鞄から手が生えた。

赤いグローブをしている。

鞄の腕が伸びたかと思うとミアを殴った。左頬に見事にめり込んでいる。

ミアはきりもみしながら隣の部屋まで吹き飛んでいき倒れた。


「ミア!?大丈夫か!」


声をかけた瞬間、倒れたまま緑の光に包まれるミア。

あの光は回復魔法だ。

3回ほど光に包まれた後ミアが起き上がった。


「ふう、死にかけたわ。身代わりの指輪が3つも砕け散ってるし。」


無事そうである。よかった。


「なるほど、アレン以外に使えないようにできてるのね。凶悪な仕様からして神様の仕業で間違いないわ。使用者以外が触れると自動で攻撃する仕掛けか。っていうか殺意高すぎでしょ。マジで死にかけたわ。」


ほんっとに無事でよかった。


「誰も触らないように気を付けるようにしないとな。」


便利すぎるが不便すぎる。神様がくれるものは大体そうだ。

昔、初めての狩りの時にくれた弓矢とかやばかった。

矢を放てば必ず獲物に命中する。どれだけ距離があっても障害物なんかも無視。一射必中。矢が勝 手に飛んで行って獲物に突き刺さる。そして獲物が光の粒となって消滅する。あの光景は忘れられな い。とても幻想的で美しかった。美しかったけど・・・。

狩りだから!獲物消滅してんじゃん!何のために狩りをするのかと。ちなみにその日の晩御飯はお かずがありませんでした。しかも弓の師匠には獲物とってこられなかったからしばらく地獄の特訓を 強いられた。

と、このようなエピソード付きの道具が結構あったりする。

ほぼほぼ封印しているけど。


「そういえばマジックバックの中に神様が色々道具を入れてくれたらしいんだよ。」

「え~、大丈夫?世界滅びない?」

「大丈夫かどうか検証する必要はあるな。さすがに世界滅亡はないかもしれないけど使い方によっては危険な物は間違いなくあるだろうし。」

「そして使いようによってはめちゃくちゃ便利な物もあるわけね。」

「多分な。頑張って検証するか。」


ちなみに検証せずに封印すると神様のへそを曲げかねないので俺たちに選択肢はないのである。


「ではまずはこちら。」


マジックバックから神様が作った道具を1個取り出す。

それは燭台に乗った蠟燭ロウソクの形をしていた。

なんだろう蝋燭に文字が書いてある。


「え~となになに、物忘れ思いだ~す?って書いてあるな。」


物忘れ思い出す?

ミアが少し考えて蝋燭をつまみ上げる。


「あー、つまりこれを使うと何か忘れてることを思い出せるって事かしら?」

「なるほどね。使い方はやっぱ蝋燭だから火を灯すとかかな?」

「じゃあ私が火を点けてみるわね」


ミアが蝋燭の先に人差し指をあて呪文を唱える。


「火の元素よ、魔力を糧に燃え上がれ。リトルファイア」


蠟燭に火が灯る。身構えるが特に変わったことは起こっていない。


「ミア、なにか変化はないか。・・・ミア?」


ミアが蝋燭の火をぼぅっと見つめている。


「・・・・・思い出した。私が書いた妄想日記では、私は遠い国のお姫様で悪者につかまっているの。そこにグリフォンに乗ったアレンが駆けつけて悪者を倒してくれるの。アレンと私はその後結婚して新たな国を興し幸せに暮らすのよ。だけどこの妄想日記は神様にバレて没収されたうえに記憶を消されたの。」


ミアが怒りをあらわに拳を握りしめる。


「その時、神様は言ったわ。『うちの子に手を出さないでよこの泥棒猫!この日記は異世界の神々にさらしてやるんだから。フーンだ。』だとあのおんなあああぁぁぁああああああぁぁぁぁあああああ!」


その場で身もだえしながらゴロゴロ転がっているミアを見ながら『ミアは意外と乙女趣味だなぁ』 とか感想を抱いてみる。口には出さないけど。

まぁ、効果はなんとなく分かってきた。多分記憶を探って思い出すことができるけど催眠状態にな っているので知られたくない過去も口走ってしまう感じかな。一応俺も使ってみるか。もし忘れてい ることがあったらそれに興味もあるし。知られたくない過去とか思いつかないし。

早速火の精霊を呼ぶ。

燃え盛る炎を尻尾の先に持つトカゲが手のひらに現れる。

火の下級精霊サラマンダーである。

尻尾の炎を蝋燭に近づけようとした時、玄関の扉を叩く音が聞こえてくる。

ドンドンドン。


「あいすまぬ。アレン殿はおられるか。」


あれ?この声はイヌーオさんかな。どうしたんだろう。


「はーい。今行きます。」


わざわざ家を訪ねてくるなんて、どんな用事だろう。

扉を開けると案の定、イヌーオさんが立っていた。


「おお、すまないなアレン殿。」

「いえ、なにかあったんですか?」

「うむ、ちと内密の話があってな。頼みを聞いて欲しい。」

「頼み、ですか。」


しかも内密のことらしい。とりあえず聞いてみようか。


「わかりました。こちらへどうぞ。」


内密の話らしいので家の中に招く。客室なんてないから居間に案内する。


「どうぞ座ってください。お茶はいりますか?」

「かたじけない。紅茶を貰えるだろうか。砂糖は多めに、ミルクを少し垂らしてほしい。ああ、お茶請けとかもあったらなお助かるのだが。高いやつでなくても構わん。腹に溜まるようなものがよいな。」

「わかりました。ちょっと待っててくださいね。」


図々しいなこの人。顔には出さないけど。これが貴族というモノなのだろう。


「どうぞ、紅茶と岩栗のケーキです。」

「ほう、岩栗か、これは珍しい。紅茶は・・・おお、我が国ゼストのティモール茶か。わかっておるではないか。」


イヌーオさんはご満悦のようだ。


「それで、頼みというのはどういったことですか?」

「ああ、実は・・・・おかわりが欲しいな。」


ほほう、おかわりですか。そうですか。


「どうやら俺ではお役に立てませんね。あ、お帰りはあちらですよ。さよなら~」

席を立ってその場を後にしようとした俺の足にイヌーオの野郎が絡みついてくる。

「ジョークだよ、ジョーク。貴族のたしなみというヤツだ。な?ほら座って。すぐに本題に入るから。」


渋々と席に戻る。ジョークだろうが次はないぞ。マジで。


「ふふふ、目が怖いな。短気は損気だぞ。もっと大人にならないと。」

「がしっ、ぶちっ。ほう、まだ息があるとは驚きですね。しぶとい。」

「わかった話す、話すから。妄想の中で私をねじ切るのはやめたまえ!」


おっと想像が口に出ていた。うっかりうっかり。


「うおっほん。えーそれでだな。頼みというのは他でもない、神器(アーティファクトと呼ばれる物のことなのだ。」

「神器、ですか。」

「そうだ。この世には人では到達できない領域の道具、神器が数多くある。だがほとんどが国宝として祀られ直に見ることは叶わない。」

「流通することがほぼないですからね。仕方がないでしょう。」

「その通りだ。一般的に神器はダンジョンから極稀に発見されるか、祭事の時などに用いられる物を見る以外には滅多に人前に出てこない。」

「まぁ、そうでしょうね。」

「そこで相談なのだよ。」

「はぁ」

「実を言うと私は神器が大好きでな。神様の神子ならば神器を扱ったことがあるだろう?その話を聞かせて欲しいのだ。」


あ~なるほど。この人神器マニア、通称ジンカーと呼ばれる類の人種だったのか。

この世界で神器は崇拝の対象になっている。そりゃそうだ。神様が作ったとしか思えない人知を超 えた道具が現実にいくつもあるのだ。

武器や防具、回復系や能力変動系のアイテムもたくさんある。

それら神器は人々を魅了し狂わせることもあるほどだ。

最近では神器の絵が描いてあるカードを集める『神器ャリアンカード』が流行っている。

ランダムで封入されたカードが入った袋を買ってほかの人と交換したりコレクションしたりバトル したりしているらしい。

ちなみにこの村でも流行り初めていたりする。俺も持っている。行商人から1枚だけ貰ったのだ。

☆1の低レアカード「もやし」だけだけどな。

というか、神器に興味があるならちょうどいい。ちょっと協力してもらおう。というか実験台にな ってもらおう。

俺はさわやかな笑みを顔に張り付けてイヌーオさんに提案をする。


「いやぁイヌーオさんは運がいい。ちょうど今、この家に神器があるんですよ。よかったら触ってみませんか?」

「そ、それは真か!」

「もちろんですよ。ほかでもないイヌーオさんの頼みですからねぇ、フフフフフ。」


実験台ゲットだぜ。


「では少々お待ちを。ミアー、蝋燭を持ってきてくれー。」


少し待つが返事がない。まだ打ちのめされているのだろうか。

隣の部屋に行く。誰もいない。


「あれ、どこ行ったんだ」


不思議に思っていると2階からミアが階段で下りてきた。


「お前2階で何してたんだ、2階には倉庫と寝室しか・・・。」


まさか・・・。


「ああ、ごめんなさい。ちょっとアレンの布団でクンカクンカしてただけよ。」

「貴様・・・。」

「あらお客様・・・って豚じゃないの。何してるのかしら貴方、早く豚小屋に帰りなさいな。」

「ブヒンっ!」


イヌーオさんはまたも絶頂を迎えてそうな顔をしている。基本無視だ。


「イヌーオさんは神器の実験だ・・・ゲフンゲフン。神器に興味がみたいなので実際に見てもらおうかと思ってね。」


さわやかな笑顔で説明をする。あくまで善意だよ。善意。


「なるほど、いい実験台ね。解ったわ。ほらモルモット、こっちにいらっしゃい。」


ミアは隠す気ゼロだな。いや俺はあくまで善意のつもりだけどね。うん。

また一階の物置に来た。神器の蝋燭には火は灯っていない。


「イヌーオさん、これが神器の一つです。」


蝋燭の刺さった燭台を指差す。


「おおおお!これが本物の神器ですか!間近で見るのは初めてです!これは何とも神々しい・・・。」


イヌーオさんが興奮気味に近づき、色々な角度から燭台を見ている。


「見たことのない神器ですな。燭台の神器か。ということはこの蝋燭に火を灯すと発動するタイプか。補助系か、もしくは召喚系の可能性も。う~む、古い文献に載っていた望んだ幻覚が見える種類の物という可能性も捨てきれない。効果は即時発動型か遅延発動型か。いや効果が一つではない可能性も捨てきれないぜ。滾る。」


興奮しすぎて若干言葉遣いがおかしくなってきたな。以外にも研究者タイプの人だったようだ。それかオタクか。後者っぽいな。


「ほらモルモット。ここに火打石があるわよ。これで蝋燭に火を点けてみたくない?」


ミアが物置の棚に置いてあった火打石をつまむとイヌーオさんの目の前にもっていき、右に左にと動かしている。

イヌーオさんは火打ち石から目を離せないようで顔が右に左に動いている。餌を目の前にぶら下げられた犬の様だ。猫でも可。


「これが欲しいのね?」

「はい、欲しいです。」


顔を左右に揺らしながら答える。なんか時折上下にも振れれている。


「モルモットのくせにまるで犬猫のような真似をして、困った豚ね。」


イヌーオさんがキメラみたいになってきたな。ややこしい。

「ほらミア、調教、もとい意地悪しないで貸してあげなさい。」

「もう、せっかくいいペットができると思ったのに。」


イヌーオさんはペットじゃありません。


「仕方ないわね。ほら豚、受け取りなさい。」


イヌーオさんの手に火打石が置かれる。心なしか少し震えている。


「よ、よいのですか?」

「構いませんよ。さぁ、火を灯してみてください。」

「ありがとうございます。ご主人様、私のような奴隷にも慈悲をお与えくださるとは。」


イヌーオさんはペットじゃなく奴隷だったようです。っていうかご主人様になった覚えはないんだが。


「では早速。」


いそいそと燭台に向き直ったイヌーオさんが意を決して蝋燭の上で火打石を打ち鳴らすと、火打石から小さい火の精霊が出てくる。

火の精霊が蝋燭の上で身震いすると蝋燭に火が灯った。



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