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世界を回って邪神討伐!   作者: おいちゃん
26/28

1章の26

邪神に剣は効かない。

でもラブ・パゥワーでの物理攻撃が効いた。

つまり・・・この世界以外の法則でならダメージを与えられるんじゃないだろうか。

この世界は神様の箱庭だ。邪神も神様が作ったものと考えられる。

まぁ作ったのはいいがそのまま忘れていたっぽいけど。

なんでそんなもの作ったのかは分からないし今はどうでもいい。

この世界以外の力は通用するのだ。なら、この世界の外から召喚して力を借りる精霊術なら。


「みんな、できる限り時間を稼いでくれ。今から特別な精霊術を使う!」

「アレン、何を呼び出すの?」


戦闘状態を維持しながらミアが訪ねてくる。


「俺が呼び出せる最強の精霊を呼び出す。」

「最強ってもしかして、かの伝説の精霊王を呼びだすというの?」


精霊王・この世界の神様に匹敵する存在。


「ごめん、流石に無理。」


もちろんそんな大物呼び出せません。


「じゃあ精霊女王!?あの精霊王をも恐れるという全属性往復ビンタが見れるのかしら?」


過去に怒り狂う精霊王を鎮めたとされる精霊女王か。


「いや、違う。」

「じゃあ精霊王子?それとも精霊騎士団長かしら、まさか精霊宮廷魔導士とか。あ、もしかして歴史的にまだ数回しか確認されていない精霊神獣とか!」

「まぁ、そこは後でのお楽しみ。とりあえず3分時間を稼いでくれ。それで何とかしてみる。」


俺の切り札、それは元来あちら側から遊びに来た精霊と契約しないか呼び出せない精霊術。それを 契約なしに呼び寄せる裏技。

精霊の世界に無数あるという精霊門を無理やりこじ開けて、近くにいる向こうの世界の強者を呼び 寄せるという技。

流石に精霊王とかの大物には通用しない。でもかなりの大物を呼び寄せる可能性が高い。

呼び寄せたその場で契約できなかったらもう呼び出せないが、初めての一回だけは助けてくれると いう秘儀。

神様が教えてくれた、いざというときに使う緊急の技だ。

使いすぎると精霊に嫌われて身を滅ぼしかねないのであまり使ってはならないと教えられた。

だが、今こそがこの技を使う時ではないだろうか。

さぁ、周りの魔力を集めるんだ。

膨大な魔力を集めて精霊界に送り込め。

集中しろ!脳が焼き切れてもやり遂げるんだ!


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


世界に漂う魔力が俺の手の中に集まりだす。


「みんな!アレンが奥の手を使うわ。3分間だけ時間を稼ぐわよ!」

「了解です!」

「任せろ!」

「はい女王様!」


みんなが口々に返事をする。


「ほう、この邪神の力に恐れを抱かぬか。まぁよい。・・・・・・殴殺だ。全ての命を刈り取ってやろう。」


邪神が腰を落とし、戦闘の構えをとる。

そして戦いが始まった。

       ・

       ・

       ・

       ・

3分。邪神を相手にはあまりにも長い時間。

仲間を信じ、俺は全意識を集中させわずか2分で精霊門をこじ開けた。


「来い!誇り高き精霊の勇!強制召喚術『神様ガチャ!!』」


神様に教えられた秘儀が発動する。目の前に精霊門が現れ、開いていく。

門の向こう側から、まるで実態を持ったかの様な闇が漏れ出した。

門の向こうから長身の男の姿をした精霊が歩いてくる。

黒く長いつややかな髪。細身の体からは若さとあふれ出る力がみなぎっているように感じる。

その精霊は俺の前に立つと漏れ出た闇に手を伸ばした。

その精霊がその闇を掴むとまるで実態を持ったかの様だった闇が実際に形を成す。

それは暗闇を具現化したようなマントだった。

精霊がそのマントを羽織る。よく見ればまるで夜空のように暗闇色のマントの中に星が見える。

その精霊は昏い瞳をしていた。絶望に染まったその瞳は焦点が定まっていない。

そのたたずまいを見ているだけで不安になってくるような気がするのはなぜだろう。

恐らくかなり高位の闇の精霊だ。深すぎる闇を感じる。

近くにいるだけで喉がカラカラだった。その喉を湿らせるために無理やり唾を飲み込む。

交渉をしなければ。震える声を精一杯絞り出し精霊に話しかける。


「私は召喚者のアレン。まずは貴方の名前を聞かせて欲しい。」


交渉開始だ。邪神を倒すために力を貸してほしいが、下手を打てばこちらにも被害が出てしまうこ ともある。

交渉の為、相手の欲しいものを聞き出しそれを与えることで契約とするのが基本だ。

まずは相手を知ることが大切。情報は命だからな。

名前が分かれば相手の性質などが分かる場合も多い。


「・・・・・この世界に絶望を。全てが憎い。星々の大海を闇に染めるためにここに存在する。」


ヤバイ。ヤバイなんてレベルじゃないヤツが来ちゃった。

世界を滅ぼそうとする存在が顕現しちゃった。

意思疎通自体が出来ないかもしれない。

邪神倒してもらえるかな。


「この俺を呼び出すということは相応の覚悟があるということだな。」


精霊がこちらを向く。


「召喚者よ。後悔するなよ。」


いかん。邪神よりも先に俺が殺されるかもしれない。

精霊が何かを口にしようとした瞬間、光の輪が精霊の首元に現れる。

それは精霊の首にまとわりつき、首輪と鎖の形で物質化した。


「ほう、異界の神の制約か。よかろう。一度だけ願いを聞いてやる。ただし、この俺をただ働きさせた責任は神ではなくお前に取ってもらうことにしよう。」


ええ!?俺ピンチ!


「せ、責任は神様に取ってもらって欲しいかな?」


出来れば神様に丸投げしたいくらいです。この精霊怖い。


「で?貴様は何を望む?」


そうだ、今は邪神を倒すことに集中しなければ。

みんなが命がけで稼いだ時間を無駄にするわけにはいかない。

俺はみんなの方に振り向いて宣言する。


「俺の望みは、あの邪神をやっつけることだ!!!」

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