1章の15
それはホホー・ナグラ・レール・ゼストが生まれる前。
今より40年ほど前の話。
ホホーと前国王アゴーの父であり当時の皇太子だったメカッケ・ドスコイ・ハラマスコイ・ゼスト (当時22歳)が王位を継ぐ前日、前夜祭と称し、盛大なパーティーを開いた。
そのパーティーで初めて酒というモノを飲んだメカッケが前後不覚になるほど酔ってしまい記憶を手放す。
王としての戴冠式の当日、朝目覚めると裸の女性がベットで数十人寝ていたそうな。
そして自分の下半身を見ると・・・なんとパンツをはいていなかった。
メカッケは焦りそこから逃走。
しばらく悩んだ後、何事もなかったかのように戴冠式に出席し王位につきました。
その後、パーティー出席者の女性から次々と傷物にした責任をとれ、と押しかけられる始末。
しかもそれがスキャンダルとして国中に知れ渡ってしまう。
焦るメカッケ。しかし記憶がない。
ますます焦るメカッケ。誰に手を出したかも覚えていない。
めちゃめちゃ焦るメカッケ。押しかける女性が3桁を超える。
どうしようもないほど焦るメカッケ。パーティーの出席者を超える人数の女性が名乗りを上げてく る。
恐怖に染まるメカッケ。なぜか男性も名乗りを上げ始める。
国外逃走を視野に入れ始めるメカッケ。この子を傷物にした責任を取ってくれ、と飼っている犬や 魔物(虫型や飛竜種含む)を持ってくる人々。
悟りを開くメカッケ。ついに禁断の方法を思いつく。
こうなれば仕方ない。頼りたくはなかった。だが頼るしかない。・・・・・そう、お金に!
彼は国庫に手を出した。
手切れ金として押しかけた女性には少なくない金額を渡した。
男性は犯罪者として鉱山奴隷とした。
魔物は退治した。
犬は子犬だったため引き取って飼った。
そして事件からおよそ一年後。
彼の子供と思われる特徴を持つ子供が現れた。
実は代々国王の血筋にはある特徴がある。
それは体のどこかに星型のアザを持つというモノで、メカッケの右乳首にも星形のアザがあった。
初めに発見されたのは偶然だった。
母親が我が子のおしりに星形のアザがあるのを発見。それを友人などにおもしろおかしく話したこ とでうわさが流れ、偶然メカッケの耳に入ったのだ。
メカッケは歓喜した。
彼は自分の失態からトラウマになっており女性を恐怖するようになっていたのだ。
それゆえ将来的に跡継ぎを残すことができないと思っていたので渡りに船だったのだ。
メカッケは国中にお触れを出し我が子を探した。お触れにはこう書いてあった。
『お尻に星形のアザを持つものを我が跡取りとする。』
そしてメカッケの前に、お尻に星形のアザを持つ子供が現れた。
10人いた。
10個のお尻を前にメカッケは苦悩した。
正直全員が我が子でもおかしくはない。
でもそんなにいても困る。正直これから増える可能性もある。
脳裏によぎるのは1年前の事件。次々に捏造される我が子とか恐怖しかない。
メカッケはケツ断した。いや決断した。
目の前のお尻から1人だけを我が子とし、跡継ぎとする、と。
こうして選ばれしお尻を持つ子としてアゴー・ケル・ナグール・ゼストは皇太子として育てられる こととなった。
それから39年・・・・。
アゴーは国王として民を導いてきた。
だが国は豊かにならなかった。
税金は年々高くなり物価も上昇。
生活に困窮する者が増えた。
この国は貧乏になっていた。
その原因の5割はその昔メカッケが国庫を大量に消費してしまった為。
そして残りの5割は・・・・。