40話 刀(2)
その瞬間、刀から闘技場のステージ全体を覆う氷の霧が生み出された。
辺り一面がその霧で包まれ、会場も凍ったかのように静まりかえった。
相手は龍のような装備?龍装だっけ?を付けているから、強気に探しているのが分かる。
「なんで分かる?見えないのに。」
うっかり声を漏らしてしまった。
だけど、本当に不思議で手に取るように場所も相手の感情も全てが分かる。
......分かった、氷武士の共鳴だ。
スキルを使った時から、いつもと感覚が違った。
落ち着けるというか、冷静になれるというか......また、氷炎も前に増して主に氷が強化されていた。
量というか、質が格段に変わって消費魔力もかなり多かった気もする。
「氷霧凝縮。」
「やっと姿を表したな、そんな事していいと思っているのか?」
「何が?てか、お前には実験台になって貰うわ。防御固めとけ。」
「......クソが。」
久しぶりの魔力操作で威嚇してやった。
もしかしたら、桁違いの魔力を使っちゃったかも?
ごめんねー(棒)
「圧縮氷霧エンチャント《-氷霧-》、属性付与《絶対零度》&《冷刃》&《硬質》。」
行きの時ミールに教えて貰ったエンチャントと属性付与を使い、刀を強化した。
《硬質》のような剣用の魔法も使い、壊れないように徹底しているから安心できる。
これだけ強化したせいか、刀は白から若干白さのある水色へと変わり、強さが目に見えるな。
「準備は出来たな?《氷砕斬》」
この剣術は発動と同時に周りのフィールドを凍らせ、範囲内の相手の動きを封じる。
それから相手の傍に高速で行き、切り裂く技。
主に全体攻撃に向いている技だろうが、単発でも問題はない。
「ちょっと、待ってくれ!ギブアップだ!その殺意と武器を収めてくれ!」
「......」
間合いに入った、斬撃を喰らえ。
俺は相手の胴体を真っ二つにするイメージで刀を振った。
が、想定外の事実が起きた。
「全く......制御出来ないじゃない。ギブも聞こえなかったなかしら?」
「落ち着いてください!今のお兄様、なんか変ですよ!」
「早く目を覚ますんだ。私達でもこれ止めるのがキツいぞ。」
......えっ?俺は何をしてたんだ。
なんでみんなが?俺は闘技場最強の奴と戦っていたはずだが。
本当になんだ?刀の色もなんか変わってるし。
「状況が分かってないわね......武器と共鳴したでしょ?その共鳴相手、氷武士に操られてた訳よ。」
「......[氷武士の共鳴]解除、属性付与解除、エンチャント解除......
――
「うっ......」
「大丈夫ですか?ここはいつもの宿屋ですけど、相当うなされていましたよ......」
とても心配した目でシャルが俺を見てくれている。
......身体が痛い。動けるが、常に痺れが付きまといそうなぐらい。
「大丈夫だったか?怪我はないか?他の2人は?」
自分の怪我なんて言っている場合じゃない。
もしこれで大怪我を負っていたら、大怪我じゃなくても怪我でもしてたら......もう大切な人を失いたくない。
父さんと母さんを亡くしてから、大切な人を傷付けないと誓ったのに......
「......私は痛いです、心が。ちぎれそうなぐらいにです。」
「......ごめんな、俺が力の制御が出来ていたら。もっと理解してたら。」
本当に申し訳ない、心の傷は一生モノ。
異世界転生しても......やっぱり俺は俺なのか。
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