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砂漠の国の、引きこもり  作者: 猫の人
男と少女の2人ぼっち生活
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「酸素が足りない。これ以上進むのは危険か」

 新庄はオアシスに生えている木の枝から松明を用意し、2日目には石の採掘ができるところまで穴を掘り進めた。

 深さにして、およそ50m。日本なら一人で掘ったとは思えない速度だ。

 ただ土を掘り進めるだけならば可能かもしれないが、周囲を固めながらの作業であると同時に、道具なしの人力と考えれば、あり得ない速度である。いかにギフトが非常識か分かるというものだ。



 石を手にいれた新庄は、採掘の触媒として石を登録し、その効率を高めていく。


 石が安定して手に入るようになったので、石を使って『かまど』をクラフトし、砂を焼いてガラスの生産を始める。燃料は木の枝で、これも普通ならばあり得ないのだが、それもギフトの力でどうにかなった。


 ガラスを焼くのに、設備が小さなかまどで、しかも燃料が木の枝など、火力が出るはずもない。

 クラフトで出来ることはある程度は常識に寄せられはしたが、それでもまだ非常識で、インチキなほどに都合のいいギフトであった。





 そして新庄はさらに奥深くへと穴を掘り進めていく。


 新庄はゲームの感覚が抜けきっていない訳ではないが、穴を掘り進めることで水脈が見付からないかと期待している。他にも鉱脈から金属資源がほしかった。

 また、地上よりも涼しい地下に拠点を作ることも考えており、安全性の確保のため、ある程度の深さを求めてもいる。

 穴を掘るのも色々と考えてのことだったが。



「酸素が足りない。これ以上進むのは危険か」


 穴が深くなるにつれ、新庄は徐々に息苦しさを感じるようになっていた。持っている松明の火はまだ大丈夫だが、これが弱々しくなっている頃には、新庄は酸欠で死んでいるだろう。


 縦穴は風の入りが悪く、酸素の供給が追い付いていなかった。

 「鉱山のカナリア」ぐらいは一般常識として知っているので、穴を掘り進めることでガスが出る危険性は認識していた。ただ、ここまで早い段階でそうなるとは思っておらず、予測の甘さ、経験不足が足を引っ張っている。



「風車で風を送り込むんだったか? 風車はクラフトで作れる範囲には無かったな」


 対処の方法は知っている。

 だが、そこはクラフトの範囲外。

 知識があっても、そのままではどうにもならない。


 新庄は少し考え、空気の供給元を増やせばいいと、代案で対応することにした。

 縦穴を他でも掘り進め、横で繋ぎ、風が通りやすくする。縦穴1つよりはずっと良くなることだろう。



「クラフトで風を送り込むのは可能だと思うけど、まだまだ素材が足りないからな」


 クラフト系ゲームは、だいたい序盤が一番大変だ。物の無さが枷になる。後半は創造力が関係するが、今はまだ関係ない。


 新庄は現状でできることを積み重ねていった。

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