表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砂漠の国の、引きこもり  作者: 猫の人
男と少女の2人ぼっち生活
8/695

「家でも建てるか」

 新庄は砂漠で砂を回収する。


 『マジッククラフト』では、スコップで直接穴を掘ることはしない。プレイヤーは魔法使いなので、魔法で穴を掘る。

 左手で魔導書を持ち、右手をかざしたところから砂が消える。消えた砂は魔導書に格納され、開いているページに保管される。


 なお、この砂の回収に魔力(MP)を消費するのだが、色々作れば消費する魔力はどんどん減る。

 その辺りは普通のクラフトゲームと同じである。

 



 ゲームであれば砂漠でも真っ直ぐに掘り進めることも可能だが、ここは現実。掘ってできた穴に他から砂が入り込み、穴を埋める。

 周囲に砂岩をおいていくが、それでは追い付かなかった。


 そのままでも砂を大量に回収できるので無駄ではないが、新庄は深い穴を掘りたい。

 砂以外の素材が欲しい。石素材だ。石があればギフトで色々と作ることができる。


「砂岩で周りを固めても限界があるな。広く固めても風で穴が埋まる。

 ……壁も要るな。屋根も欲しい。家でも建てるか」


 井戸のように、縦に深い穴を掘るには入り込む砂をどうにかする必要がある。そうなると、家を建ててしまうというのが良い考えのように思われた。

 新庄は砂岩を使い、小屋のようなものを作ることにした。


「よく考えれば、屋根も無いところで延々と砂掘りをするのは間抜けだったな。ゲームの感覚が抜けきっていないのは問題だ。

 と、壁はこれでいいか」


 魔力効率は悪いが、魔力の回復はそこまで時間がかからない。大量の砂を回収していたので、そこから作られる砂岩も同様にたくさんある。

 まずは豆腐建築。四角い建物を作ればいいだろうと、北に入り口を作って、四方を囲んだ。

 あとは天井を作ればいいのだが……。


「落ちてくるよな、そりゃあ」


 壁にくっつけるように砂岩を置こうとするが、置いた砂岩は重力に引かれて下に落ち、その衝撃で砕けた。

 これもゲームでは無かった仕様だ。


「仕方がない。上手く落ちないように……あ。

 そうだった。ゲームじゃないんだから、サイズは自由だったな」


 ゲームでは、砂岩は1つのブロックとしてしか作ることができない。イメージは1mの立方体だ。それを積み上げて物を作ることができるのだから、それで問題ないのである。

 しかし、現実となって拡張されたクラフトのギフトにその様な制限は無い。素材さえあればどんな大きさや形状であっても問題ないのだ。


 新庄は魔導書の中で厚みはそのままに、5m×5mの砂岩を作ると、それを天井として配置した。


「壁もあとで作り直そう」


 一先ずの寝床は確保された。

 穴掘りもこれで順調に進むだろう。


 ただし。


「明かりの確保も考えなきゃダメか。

 これは、長期戦を覚悟しないとダメだな」


 問題は山積みである。

 新庄は、それでも目に見える問題だからなんとかなるだろうと覚悟を決め、穴掘りを再開するのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ