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砂漠の国の、引きこもり  作者: 猫の人
男と少女の2人ぼっち生活
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「オズワルドは、この町から撤退しつつあるんですよね」

 簡単な対策をいくつか指示したが、やるべき事はそれだけではない。


「オズワルドは、この町から撤退しつつあるんですよね。

 一応確認しますが、それはどれほど正確な情報でしょうか?」


 オズワルドへの報復である。

 新庄はオズワルドがどれほど追い詰められたか知らないので、まだ警戒し、怒っているのである。


 そのため、オズワルドの動向を探る新庄。

 シドニーは、求められたことで自身の調査結果を簡単に共有する。


「あの船の騒動の後、オズワルドと距離を取った商人が多数出た。奴はそういった商人を完全に切り離している様だな。時間が経ってもう大丈夫だと考え直した者も出たが、復縁は一切受け付けていないらしい。

 少数だが、オズワルドを見限らなかった商人もいる。そういった連中は未だに奴の傘下にあるな。

 職人連中はオズワルドを軽視していた連中が干され、そうでなかった者が生き残ったようだ。商人が距離を置いた後、色々と手を回して確保していたようだ。

 ただ、そういった付き合いのある連中も店を畳もうとしているのか、身辺整理を始めているように見える。私が「オズワルドがこの町から撤退しようとしている」と考えたのは、そういう部分だ」


 詳細はこちらにあると、シドニーは書類の束を出す。


 新庄はその紙の束をパラパラとめくってみるが、そこには雑多な書かれ方をした報告書が何枚もあり、統一感の無い書式に眉をひそめる。しかも羊皮紙なので、紙が分厚くめくりにくい。

 新庄は統一書式、植物紙の生産、版画印刷の情報を頭の片隅に置いた。

 それは後で話し合うとして、今は報告書の中身に目を通す。



「たぶんブラフ(はったり)ですね。オズワルドは町から出ていくのではなく、町を荒らして、それからもう一度自分の影響力を強めていく方針なのだと思います。

 シンパを連れ、撤退して身の回りを片付けているという話ですが、それも無駄が大きな話なんですよね。そういう意味では、むしろこちらを無駄に動かす策だと思います。ほら、他の町に連れて行っても、そこで仕事がどれだけ確保できるんだって問題もありますし」


 報告書を全て斜め読みした新庄は、敵の予想以上に大きな動きに、逆に懸念を抱いた。

 おそらくも何も、本気で完全に撤退することは無いだろうと、相手の思考を読み切ろうとする。





 人と物の流れだが、日本を知る新庄にしてみると、この世界のそれは非常に遅く感じる。

 そして、一生の間に他の町に行く事が無い人間が圧倒的に多い時代であれば、引っ越しというのは簡単な事ではない。たとえ手に職持つ人間であっても、生き残れるかどうかは分の悪い賭けになる。

 何といっても、自分の腕がどれだけよかろうが、余所の町にはそこで生きてきた同業者がいるのだ。地元の利を使い、よそ者を排除しても不思議ではない。

 この町はオズワルドが拠点を置くぐらい大きな町で、そこから地方に大規模な移民を行えばどうなるかは、火を見るより明らかだ。


 要は、大規模な移住など成功するはずがない。

 それだけの話である。



 また、この町を捨ててしまうというのは、非常にもったいない。


 船乗りにとって、休める港というのは貴重なもので、頻繁に寄れるようであればその方が良いに決まっている。

 それを1つ、近隣で一番大きな港を外すとなると、船乗りたちが不満を持つだろう。なかには遊びであっても馴染みのいい相手(・・・・)というのがいるかもしれない。


 それなら、数回だけ寄港を止めて、相手が音を上げるのを待った方が良い。



 新庄はそういった予測を元に、シドニーと意見をすり合わせていった。

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