「シドニー様。外国のならず者が新庄様の周辺をうろついています。如何なさいましょうか?」
新庄を狙う海外勢力。
彼らは現地に伝手が無いため、組織の構成員の大半を砂漠の国に送り込む。
「奴の事は現地に聞け。まずは情報収集だ!」
新庄の名前は、海の向こうの国々でも広まっていた。
以前、異世界の神様の名前を広めるために食料支援を行い、祭りをさせたからだ。
『砂漠の賢者』の名前はそこで定着している。
ただ、呼び名を知っていても、それ以外の情報は広まっていない。
精々、容姿や性別、大量の食料運搬を可能にするギフト能力を持っていると、そこまでである。どこに住んでいて、普段は何をしているかなどといった情報は持ち合わせていない。
だから彼らはシドニーの町に行って、新庄の情報を集める所から始めた。
攻め入るにしても、どこに居るかも知らなければ話にならない。
彼らはそんな当たり前の情報すら持っていなかったのだ。
「オズワルド様。不審な輩が新庄様を探っています。仕事は素人、隠すつもりも無いようですが、新庄様に害意を持っている様子です」
「シドニー様。外国のならず者が新庄様の周辺をうろついています。如何なさいましょうか?」
そんな事をすれば、地元の権力者たちに目を付けられる。
砂漠の国の住人と明らかに違う容姿の男たちが、暗い目をして新庄について調べているなら非常に目立つし通報されるに決まっている。
彼らが新庄の情報を探る以前に、シドニーたちに彼らの情報が集められていた。
「何人か捕まえて背後関係を聞き出せ」
シドニーとオズワルド。
町の権力者と有力者は、連携して彼らの対処を行う。
新庄に知らせる必要も無い。
狙われているのは新庄でも、新庄に被害が出る前で、ただの情報収集という町だけの出来事なら、町の人間が対処して構わないからだ。
彼らは彼らなりにバレないように情報収集をしていたつもりであったが、情報収集の専門家でもないので、隠密行動が雑だった。
もちろん、拷問への耐性等も無い。
捕まった者はアッサリと自白をして、砂漠の国に来た一行は全員捕縛された。
これが戦後の混乱著しい彼らの本国周辺であればまだ動きやすかったのだが、そこそこ平和で、余所に盗まれたくない最新の技術で賑わい、木々を見守らんとする人も多い海の町に、外国の不審者が現れたのだ。
ここまで状況が整って捕まらないとしたら、その方が不思議である。
「『超加速の魔法陣』だが、新庄さんは関わっていないぞ。新庄さんがやっていたのは『人工精霊の魔法陣』だ」
「同じ魔法陣だ。どこかで情報が混ざったようだな」
「そんな馬鹿な!!」
細かい事を言えば、新庄が出した研究費で完成して、新庄が暗号化された部分を解読して、新庄の名前で論文が製本されている。
新庄は完全に関係者なのだが、相手の心を折るために、彼らには嘘の情報が渡される事になった。
その後、財産を没収された状態で彼らの一部は放り出され、この誤った情報が海の向こうに持ち帰られる。
情報操作の一環であるが、これは上手くいったらいいなという程度で、大して効果は期待されていない。
それよりも、足手まといを送りつける事で動きを鈍らせるために生かして帰されたのだ。
帰る事ができたのは、拷問で大きな怪我をした者だけなのだ。
健康で働ける者は、海外で奴隷にされ、鉱山などで使い潰される事になる。
新庄が知らない所で、そんな出来事が起きていた。




