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砂漠の国の、引きこもり  作者: 猫の人
砂漠の国の、神殺し
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「何かあるなら、相談に乗りますよ。作戦は“いのちだいじに”もいいですが、私は“みんななかよく”ですからね!」

 外交官の家に戻された新庄は、一晩悩んだが気持ちを切り替え、一人で朝御飯を作っていた。

 料理はこだわろうと思えばどこまでもこだわることができるし、何より“誰かに食べてもらう”料理であれば、自分が一人ではないと思えるようになる。

 心が泥沼にはまらないようにするには、うってつけであった。



「あ、復活しましたか」


 起きてきた田中はそんな新庄を見て、悩み事が解決したのだと判断する。

 ただ、解決しても尾を引く問題というものも存在するので、年上の男に少しだけアドバイスをする気になる。


「帰ってきた時の新庄さん、酷い顔をしていましたからね。心配しましたよ。

 いいですか、新庄さん。人間、辛い事はたくさんありますけど、どんな時も笑顔ですよ、笑顔。どんな時も笑える人間が最強なんです。バカやって、馬鹿馬鹿しい事を言ってでも、笑って見せればなんとかなるんです。

 いつも元気にで、“笑えよ、常に”ってね!」


 それを言うなら、「備えよ、常に」だ。


 しかし、それを言った田中は言葉通りにニカッと快活な笑顔を見せる。

 この男、ネタに走る傾向があるが、それも人生を楽しく生きる知恵として実践しているのだ。



 目的を持ち、前に進むだけでは人生は辛いものになる。

 それに耐えてこそ掴める物もあるのだろうが、普通の人間は途中で挫折する。そんな一握りの選ばれた者になれない普通の人間(モブ)は、時に外へと目を向け、一休みする。

 そうやって、心を癒しながら、諦めずに前へと進むのだ。


 道の果てに届かなくとも、前へと進み続ければ辿り着く場所がある。

 才能に恵まれなくても、諦めないだけで掴み取れる何かもあるのだ。


 それに、譲れない一つを胸に抱いたからと言って、他を捨てる理由にはならない。

 欲しいと思えば、やりたいと思えば、大事なたった一つを抱えたままでも手を伸ばしていい。


 寄り道が遠回りを強いるとしても、道の先は何があるか分からない。遠回りが実は近道だった事もある。

 そうやって、寄り道をしなかった後悔を抱えるよりはずっと良いというのが田中の持論だ。



「何かあるなら、相談に乗りますよ。作戦は“いのちだいじに”もいいですが、私は“みんななかよく”ですからね!」


 田中はそう言って新庄の背中を叩くのだった。

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